研究課題/領域番号 |
26450349
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
田頭 秀和 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門・施設工学研究領域, ユニット長 (40414221)
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研究分担者 |
増川 晋 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門・施設工学研究領域, 領域長 (00414459)
向後 雄二 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30414452)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | フィルダム / 地震時挙動 / 亀裂発生機構 |
研究実績の概要 |
本研究は、土質材料で作製したダム模型を用いた遠心載荷振動模型実験を実施して巨大地震によるダムの変形を再現し、これを高精度の画像解析と数値解析で多面的に分析することで、フィルダム堤体の亀裂発生メカニズムおよび大規模崩壊への進展メカニズムを解明することを目的としている。 平成27年度は、(1)砂質系材料(相対密度95%、含水比5%の豊浦砂)で作製したフィルダム堤体模型(以後、“TS模型”と記す)の遠心載荷振動実験を対象とした横断面の画像解析、(2)堤体横断面を想定した二次元FEMの地震時挙動解析によるパラメータスタディ、を実施した。 (1)の実験では最大入力加速度500cm/s2の段階で片側の斜面に表層スベリが発生したが、亀裂は目視では確認できなかった。画像解析では、水平変位±0の箇所が底部から堤頂端部までほぼ直線状に発達することを確認できた。なお、平成26年度に実施した豊浦砂とカオリンの混合土(乾燥重量比は4:1)で作製した模型(以後、“TK模型”と記す)では、同箇所は堤頂下方において屈曲して法肩下部に向けて伸展した。 (2)では、TS模型とTK模型の材料パラメータの数値を最大値と最小値とし、両数値間を3段階程度に設定した数値を加えて、パラメータスタディを実施した。その結果、TK模型のような粘性系材料では堤体表面における水平変位±0の箇所が堤頂部に位置し,せん断ひずみは堤頂付近の浅い斜面を横切って発達するのに対して,TS模型のような砂質系材料では、前者は斜面中腹部に位置し、後者は斜面上部の下方の深い部分で発達した。このことは、砂質系材料は粘性系材料に比べて堤頂部に一次的な亀裂が発生し難いことを示唆している。また,横断面内の変位・ひずみ分布形状に対する堤体斜面勾配の影響は小さいこと、一次卓越周期より短周期の地震波は、変位・ひずみの極値発生箇所の多数化と分布形状の複雑化の作用を持つことが判った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26~27年度に検討の対象とした模型実験と異なる1種類の材料を用いて遠心載荷振動模型実験を実施する予定であったが、試験装置の不具合により実施できなかった。 その代替として、平成28年度に実施予定であった「地震波の特性が亀裂の発生および進展に与える影響の解明」のうち、数値解析による検討を先行して実施した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に実施できなかった遠心載荷振動模型実験(平成26~27年度に検討の対象とした模型実験と異なる1種類の材料を用いた実験)に加えて、当初予定の模型実験(観測地震波を使用した実験)を実施し、画像解析と数値解析との比較等を行う。その結果と平成26年度・平成27年度の検討結果を統合的に整理・分析し、巨大地震によるフィルダム堤頂部の亀裂発生メカニズムを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した物品が想定していた価格よりも安価で済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度請求額と合わせて、データ分析補助業務等の経費として使用する。
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