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2015 年度 実施状況報告書

青果物鮮度維持のためのエチレンプラズマ分解システムにおける電力消費量の9割削減

研究課題

研究課題/領域番号 26450352
研究機関豊橋技術科学大学

研究代表者

水嶋 生智  豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60239233)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードエチレン分解 / プラズマ反応器 / メンブレン状触媒 / 吸着・濃縮 / 効率改善
研究実績の概要

青果物の鮮度低下を促進するエチレンを高効率で分解するための吸着・濃縮型プラズマ分解装置を構築することを目的として研究を行い、以下の成果を得た。
(1)管型プラズマ反応器用メンブレン状触媒管の作製と表面改質による性能改善
アルミニウム管の陽極酸化によるメンブレン状アルミナ管の作製技術、および高表面積化のためのシリカコーティング技術を前年度までに確立したが、エチレンの吸着能と分解効率に対して大きな効果はなかった。これを改善するため、シリカコーティングしたメンブレン管に銀粒子を担持させたところ、エチレン吸着量は150倍も増加した。しかし、この触媒管にプラズマ照射しても銀上に吸着したエチレンは分解されず、脱離するのみであった。すなわち、銀はエチレンに対して優れた吸着・濃縮作用を示すが、分解反応に対する触媒性能は低いことがわかった。
(2) 平板積層型プラズマ分解装置の開発
管状よりも大型化が容易な平板積層型プラズマ分解装置を構築するため、吸着剤および誘電体の役割を兼ね備えたシリカコーティング層をアルミニウム電極表面に作製したが、均一なプラズマを発生するのに十分な膜厚を得ることは困難であった。そこで、電極と電極の間、すなわちプラズマ領域の中央に設置することによりプラズマを均一化し、かつ、吸着剤や触媒の役割を兼ね備えた平板多孔質メンブレン膜を、アルミニウム陽極酸化法と逆電剥離法により製作することとした。当初は陽極酸化膜の剥離が全くできず、メンブレンが得られなかったが、調製条件を模索しながら、現在、必要な大きさの9割程度の多孔質メンブレンを作製できるようになっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

(1)管型プラズマ反応器用メンブレン状触媒管の作製と表面改質による性能改善
以前研究したトルエンのプラズマ分解反応では、シリカコーティングしたメンブレン触媒管によりトルエン吸着・濃縮性能および分解効率は大幅に改善されたが、エチレンに対する効果は予想していたよりもはるかに小さかった。そこで銀粒子をメンブレン触媒管に賦与したところ、エチレン濃縮効率は大幅に改善できた。しかし、プラズマ照射しても吸着エチレンはほとんど分解されないという新たな問題が発生し、現在その解決策を検討している。このように、期待していた結果が得られなかったため、研究の進捗は計画よりも若干遅れているものの、着実に問題点を解決し、前進していると言える。
(2) 平板積層型プラズマ分解装置の開発
電極表面にシリカコーティング膜を作製することによってプラズマの均一性を改善できたが、反応器として用いるには満足する均一性が得られなかった。そこで、電極と電極の間にもう一枚の誘電体を設置することによりプラズマの均一性を改善し、かつ吸着剤・触媒としての機能も兼ね備えた平板多孔質メンブレン触媒の開発を始めた。当初は既報の陽極酸化/逆電剥離法にならって調製を試みたが、期待した膜を得ることができなかった。しかし、その後数か月以上調製条件の改善を続け、あと一歩のところまで到達している。

今後の研究の推進方策

(1)管型プラズマ反応器用メンブレン状触媒管の作製と表面改質による性能改善
銀粒子上に吸着・濃縮したエチレンのプラズマ分解効率を上げるため、銀粒子に加えて、エチレン分解に対して高い触媒能を有する金属種(白金、パラジウムなど)も賦与したメンブレン触媒管を作製し、その特性化と性能評価を行う。また、第2プラズマ領域を設けるなど、反応器の改良も行う。さらに、ガス流量、放電時間、放電間隔などの反応条件も最適化し、高効率プラズマ分解反応器の構築を目指す。
(2) 平板積層型プラズマ分解装置の開発
平板多孔質メンブレン膜の調製条件を確立したのち、シリカコーティングや金属担持による触媒化の検討およびそれらの特性化を行う。また、反応器を構築してプラズマの状態を観察するとともに、実際にエチレンのプラズマ分解反応を実施して、触媒や反応器の効果を検証する。

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公開日: 2017-01-06  

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