研究課題/領域番号 |
26450354
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
森本 哲夫 愛媛大学, 農学部, 教授 (50127916)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 省エネ / 太陽熱利用 / 活性炭素繊維 / 吸着式冷却 / 青果物貯蔵 |
研究実績の概要 |
(1) ニューラルネットワークと遺伝的アルゴリズムを組み合わせた知能的最適化手法を用いて、複雑な構造である2重壁の、これは2つの溶岩プレートとその間の充填材(天然ゼオライト+砂)から成るが、熱伝導プロセスをモデル化して、そのモデルのシミュレーションから庫内の温度を最低にする8ステップの最適な水供給パターンを求めた。すなわち、最適な水供給のon-off操作により、充填材の粒子および溶岩プレート表面の濡れ具合を最大にして効率的(最適)な気化冷却を実現し、これにより庫内の温度を、連続的な水供給の場合と較べ、約3.9℃低下させることができた。 (2) もう1つの冷却システムである太陽熱駆動型吸着式氷蓄熱冷却システムを試作した。これは低圧および活性炭素繊維によるメタノールの吸着作用でメタノールの気化冷却を促進させて冷却するシステムであり、また活性炭素繊維に吸着されたメタノールは太陽熱により脱着させて液体に戻し、これを繰り返して冷却するシステムである。電気は使用しない。この冷却により蒸発部では-15℃まで低下し、ある程度の氷をつくることができた。さらにこの氷水を循環させることで貯蔵庫内部を冷房することができた。なお、ポンプ稼働で電気使用。実用化のためにはまだ不充分なので、今後改善する予定である。 (3) 青果物(トマト等)の水損失を抑制して鮮度を保持するため、上記の知能的最適化手法を用いて、水損失を最小にする最適な熱ストレス負荷&解除の処理(収穫直後に40℃の熱ストレスを1,2回与える)を行い、これによりトマトの水損失速度を約20%低下させることができ、貯蔵期間を7から16日間に延長できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 太陽熱吸着式氷蓄熱冷却システムは、一応開発しある程度の冷却性能を示したが、実用化の観点からは不十分である。冷却性能は構造や材料等によって大きく異なる傾向を示したので、実用化のためには、構造や材料を変えて、もっと改善する必要がある。 (2) 電気を使用しない抗菌の貯蔵ボックス、これは銀イオンと天然ゼオライトを活用して除菌し青果物のカビ腐敗等を抑制するものであるが、この開発がまだ未着手である。
|
今後の研究の推進方策 |
(1) 太陽熱吸着式氷蓄熱冷却システムにおいて、冷却性能が構造や材料等によって大きく異なるので、試行錯誤的に最良の構造と材料を見出し、もっと効率的な冷却システムを開発する。 (2) 銀イオン、天然ゼオライト、その他の抗菌剤を活用して、電気を全く使用しないで貯蔵青果物のカビ腐敗等を抑制する貯蔵ボックスを開発したい。なお、この貯蔵ボックスは本研究で開発しているゼロエネルギー低温貯蔵庫の中で使用するものである。
|