◯水田上に設置した野外実験装置により,移植後1ヶ月~出穂期の生育期間を対象に水稲のレーザ計測を複数回実施した。このレーザ計測データを用いて,水稲群落へのレーザ入射角の影響を考慮した生育量(草丈)推定アルゴリズムを検討した。検討では,レーザ入射角により計測領域(生育が均一)を複数の小領域へ分割し(-4~36度の範囲を5分割),小領域ごとにレーザ計測データから算出した植生層高さ(レーザ計測した植生層高さ)と草丈の関係を調べた。その結果,両者の関係が1次式あるいは2次式で表現可能であること,レーザ入射角が30度を超える小領域では,草丈増加に対するレーザ計測した植生層高さの増加の割合が小さく,レーザ入射角が大きい計測領域では,草丈推定精度が大きく低下する可能性が確認された。 ◯開発したSUAVベースの生育測定システムを用いて,水稲(水田)のレーザ計測を複数回実施した。飛行高度は,搭載した非測量レベルのレーザスキャナの測距性能を考慮し5mを目安とした。取得したレーザ計測データから,レーザ入射角が鉛直条件となる領域(±5度)を抽出し(約0.9×10m),抽出領域において生育が均一な小領域(約0.9×2.5m)において,地上調査した草丈データとレーザ計測した植生層高さの関係を表す推定式を求めた。その後,草丈推定式を抽出した領域全体へ適用し,草丈推定した結果,水田面の位置情報を参照することなく,計測期間を通じて地上実験結果と同様のRMSE 8cmで草丈を推定した。 ◯レーザ入射角が鉛直条件となる領域(±8度)において,レーザ計測データから決定した草冠位置から計算される空間体積(Spatial Volume)から茎数を推定するアルゴリズムを検討した。その結果,レーザスポット径の大きさに依存せず,茎数が相対誤差10%程度で推定できる可能性が確認された。
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