研究課題/領域番号 |
26450365
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
小寺 昭彦 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト上級研究員 (10435589)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 災害モニタリング / リモートセンシング |
研究実績の概要 |
H27年度は洪水被害発生/回避成功事例の収集・判別精度検証を中心に進めた。
1.洪水被害発生/回避成功事例の収集・判別精度検証: ミャンマー・エーヤワディー川デルタおよびベトナム・メコン川デルタにおいて現地調査を実施し、被害統計資料の収集および過去の被災状況の調査を行った。衛星画像判別結果との比較では、エーヤワディー川デルタについては概ねよく一致することを確認したものの、メコン川デルタについては、被害無し水田を被害水田とする誤判別が多く確認された。この原因は栽培方法が他地域と異なるためであることを明らかにした。また、研究対象地域からは外れるが、ダム建設等の近代的大規模治水事業による洪水被害緩和事例の収集を目的に、インドネシア・スラウェシ島ビリビリ多目的ダム周辺において現地調査を実施した。2001年のダム完成以降、下流部の洪水被害は明らかに緩和され、また灌漑も充実したことから作付体系は大きく変化し農業生産性は向上した。その一方でソフト的な洪水適応策が失われつつあることを明らかにした。
2.準リアルタイム自動判別システムの試作: メコン川デルタにおける洪水被害リアルタイムモニタリングシステムの実装に向けた取り組みを、現地の南部水資源研究所と共に開始した。システムを試作すると共に現地調査で得られた結果を基にパラメータの最適化等、当該地域の判別精度改善を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
適応策再評価に関する研究については現地情報収集が進んだものの、地域間比較等の分析作業が計画より少し遅れぎみである。一方で洪水被害判別に関する研究については当初計画以上に進んでおり、準リアルタイムモニタリングシステムの社会実装に向けた取り組みが進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの洪水被害判別成果および現地調査結果を踏まえ適応策研究を進める。さらに補遺調査を実施し、最終年度のとりまとめを行うと共に現地にて成果報告を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属先の異動に伴う時間的な制約により、当初計画した期間の現地調査および論文執筆をこなせなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度実施を見送った現地調査を実施するとともに、最終年度の成果とりまとめと合わせ論文作成に伴う出費を見込んでいる。
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