農産物の安全・安心・品質保証,新規就農者創出のため,ICT を利用する農業支援システムの研究が盛んである.農業用ICT 機器により気象,土壌や画像データなど農産物の環境情報は取得できているが,作物の生育状況は熟練就農者の判断に依っており,定量化の研究が進められている.本研究では,取得・蓄積されたビッグデータの統計解析結果と生育状況とを照合し,施肥,土壌水分調整や収穫時期を教示できるシステムの構築を目指している.生育状況の判断について新たな指標とそれを定量化するセンサの市販品・開発品は,非常に入手困難で,普及可能な装置開発が急がれる.作物により,葉色,葉緑素濃度,茎・葉の大きさなど判断指標も異なり複合的であるが,重要な要素の一つである葉色センサの開発とシステムへの組み込みを目的とする.研究計画に示す下記項目に対し,概ね研究を終えている. (1)試験用ビニールハウスの設置と近赤外分光法による葉色の特徴点抽出と特徴波長LED・PDによる反射・透過データに基づく葉色センサの開発 (2)葉色センサで得られたデータと生育作物生体情報の相関検証とフィールド実験を実施(3)複数葉色センサを圃場に設置し,取得データと農業作業者ヒアリング情報との照合 (4)葉色センサによるデータと生育環境情報データとの分析 現在,基礎実験を終了し,開発可能性を確認し,プロトタイプの設計製作を実施している.プロトタイプを使用した実験も開始しており,実用化に向けた設計製作を行っている.
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