近年,農業生産工程管理(GAP)の導入により,農作物のトレーサビリティが注目されている.そこで,本研究課題では,農作物の品質向上に不可欠な既存のフィールドサーバに代わる環境センシング移動ロボットを開発し,農業支援システムの構築を試みた.これにより,移動可能なフィールドサーバが構築され.低コストで,より広範囲なセンシング,より高精度なセンシングが可能となることが期待でき,農作物の品質向上,農業従事者の負担軽減につながると考えられる.平成28年度は,昨年度製作した環境センシングロボットの改良,ビニールハウスにおける自動巡回アルゴリズムの改良を行った.具体的には,実際のビニールハウス内にて巡回が可能となるようにハードドウェアの再設計,自動巡回アルゴリズムに作業者を利用する方法を試みた.これにより,固定されたフィールドサーバあるいは測定器を用いるよりも,ビニールハウス内の高精度な環境情報分布が得られることが明らかとなった.さらには,得られた環境情報をPCのみならずスマートフォンなどの端末で容易に閲覧が可能となるようネットワークを介したWEBアプリケーションを開発した.これにより,農業従事者が容易にビニールハウス内の状態を把握できるようになることが明らかとなった.これらの研究成果は,学会にて講演発表のみならず,アグリビジネス創出フェア2016(東京ビックサイト),第3回TAC担当者研修会(奈良県農協会館),奈良高専技術フォーラム&研究室見学会などにて公表し,学内外へ広く発信し,今後の課題や提案した農業支援システムに対する高評価が得られた.
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