研究課題/領域番号 |
26450373
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
佐藤 幹 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20250730)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ANGPTL-5 / ニワトリ / 卵生産 |
研究実績の概要 |
遺伝子の同定とリコンビナントタンパク質の作成:ゲノム情報より3’および5´non-coding regionを含むprimerを作成し、ニワトリANGPTL-5の全長配列を決定した。ニワトリANGPTL-5は390アミノ酸で構成されるタンパク質で、アミノ酸配列の相同性はヒトと68%であった。分離した全長配列をpIND-V5の哺乳動物発現ベクターにコンストラクトし、CHOK-1でリコンビナントタンパク質を調整した。 ANGPTLタンパク質の機能解析:ニワトリANGPTLタンパク質は、リポ蛋白質リパーゼ(LPL)の阻害因子として機能していることをin vitroで明らかにした。また、ANGPTL-5リコンビナント蛋白質を鶏に投与したところ、投与後1hの血中トリグリセリド濃度が上昇し、生体内においてもANGPTL-5はLPLの阻害因子として機能していることが明らかとなった。 in vivoにおける発現解析試験:ANGPTL-5遺伝子発現を卵胞の発達ステージで検証したところ、急速成長期、特にF3で大きく発現が上昇していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である本年度は、ANGPTL-5の転写産物およびリコンビナントタンパク質の調整に成功し、その基本的な生理機能の同定を行った。その結果、ニワトリANGPTL-5は、哺乳動物と同様、リポ蛋白リパーゼ阻害作用を持ち、卵胞の発達に関与する可能性が示唆された。よって、ANGPTL-5から卵生産の効率化を目指す本研究の初年度計画を十分達成している。しかし、論文などの公表を今年度は行えなかったため、この評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
ニワトリ卵胞膜を用いたANGPTLのin vitro解析(平成27年度実施予定):ニワトリの卵胞の組織免疫染色でANGPTLの局在性を明らかにした後、ニワトリ卵胞より分離した細胞を用いて、性ホルモンに対する発現を、定量PCRで解析し、急速成長とANGPTLの関係を実証する。 蛍光ラベルVLDLを用いた卵黄蓄積に対するANGPTLの機能解析(平成27年度実施予定):リポ蛋白質をDiIで蛍光ラベルして、ANGPTLリコンビナントタンパク質と同時に投与することにより、卵黄蓄積とANGPTLの関係を明示する。 ・ANGPTLの転写を制御する栄養素による発現制御(平成28年度実施予定):ANGPTLの転写活性を制御する栄養素を細胞や飼料に添加し、ANGPTL発現量、血中脂質濃度、卵生産成績を測定し、卵生産を効率化し、脂質代謝異常を予防する生産現場での有効な技術基盤とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、論文投稿や学会発表などの公表を時間的な理由で行えなかった。そのため、謝金や旅費を繰り越すことになった。物品費に関してもタンパク質解析などを進める為の予算計上であったが、本年度は失敗も少なかったため、予算を大きく使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に開催される学会における発表、および投稿のための英文校閲に使用するとともに、タンパク質解析のための抗体が高価であるため、次年度使用額として有効に使用する。
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