研究課題/領域番号 |
26450373
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
佐藤 幹 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20250730)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ANGPTL-5 / ニワトリ / 卵生産 / 卵胞発達 |
研究実績の概要 |
本年度は、ニワトリ卵胞を用いたANGPTL-5のin vitroおよびin vivo解析を行い、ニワトリANGPTL-5の代謝的機能を解析した。まず、ニワトリ卵胞に対してANGLTL-5抗体を用いて免疫染色をしたところ、卵胞膜に局在していることが明らかとなった。すなわち、ニワトリANGPTL-5は血管が発達している部分に局在していることを確認した。次に、採卵鶏より超遠心法で採取したVLDLをDiIで蛍光ラベルして、ANGPTL-5リコンビナントタンパク質と同時に静脈下より投与して、卵胞への卵黄前駆物質蓄積に対するANGPTL-5の機能を解析したところ、ANGPTL-5投与区で卵黄前駆物質の蓄積が亢進していた。すなわち、ANGPTL-5は卵胞への卵黄前駆物質蓄積を促進する機能を持つことが明らかとなった。よって、前年度の結果も含めて考えると、卵胞膜で発現するANGPTL-5は、卵黄前駆物質のリポタンパクリパーゼによる分解を抑制し、効率よく卵黄蓄積を行う代謝的機能を有しており、本因子を制御することにより、効率的な卵生産が可能となることを明らかにした。最後に、性ホルモンであるLHおよびFSHを初代培養したニワトリ卵胞膜細胞に添加して、その発現量を測定したが、ANGPTL-5遺伝子発現に性ホルモンは影響しなかった。以上の結果から、ニワトリANGPTL-5は急速成長期の卵胞膜に高発現し、卵黄前駆物質の取り込みを促進する因子であり、卵胞の効率的発達に寄与している因子であることが明らかとなった。さらに、ANGPTL-5遺伝子発現は卵胞発達に重要である性ホルモンに対する応答を明らかにし、ホルモン以外の因子によって制御できる可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進行している。すなわち、本年度の解析で、ニワトリ卵胞の急速成長期に卵胞膜に高発現するANGPTL-5は、卵胞発達、特に卵黄前駆物質の蓄積を促進する代謝的機能を持つことが明らかとなり、卵胞発達の効率化における鍵因子であることを明示することができた。一方、本研究の成果を論文にするためのデータがそろったのは本年度末であり、現在、論文として執筆しているところであるため、学会発表を控えているのが現状である。よって、研究成果としては計画以上に進展しているが、公表という点で本評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、研究成果をまとめるとともに、論文として公表し(2報)、ANGPTL-5を制御する栄養素を選出し、卵生産を効率化する有効な技術開発の基盤とする。具体的な栄養素としては、アミノ酸、脂肪酸を想定しており、卵胞膜細胞を用いたin vitro発現解析と、in vivoにおける添加試験を通じて、卵生産の基盤を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、投稿論文や学会発表などの公表を時間的な理由で行えなかった。よって、旅費は予定より使用していない。また、物品費に関しては、細胞培養系の確立が効率よく行えたため、若干予定より少ない使用で研究を進めることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に開催される学会や投稿論文の英文校閲等に有効に使用する。さらに、物品費に関しても、次年度は多くの細胞培養を行うために使用する。
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