研究課題
最終年度である本年度は、ニワトリANGPTL-5の発現を調節する栄養素を検索し、発現調節による卵生産の効率化を目指した試験を試みた。まず、ニワトリANGPTL-5のプロモータ領域を検索し、転写因子による調節が可能かを結合推定配列から推測した。しかしながら、ANGPTL-5のプロモータには、現時点で栄養制御可能な転写因子結合配列を見出すことはできなかった。そこで、ANGPTL-5が局在する卵胞上皮細胞を白色レグホーン種のF2およびF3から採取して培養し、それに各種栄養素を添加して、ANGPTL-5の発現変動を観察することを試みた。その結果、アミノ酸であるグリシンとリノール酸の添加(いずれも0.5mM)でANGPTL-5の遺伝子発現が増加した。その応答を確認するために、pGL4.10にANGPTL-5のプロモータ領域(-1,500~+32)をコンストラクトして、COS7にトランスフェクションして、グリシンとリノール酸を添加してデュアルルシフェラーゼ解析を行った。その結果、グリシン添加でANGPTL-5の転写活性が上昇することを確認した。以上の結果から、ANGPTL-5は栄養素、特にグリシンによる制御が可能であること、そしてその制御は、プロモータ領域によって制御されている可能性が示唆された。ANGPTL-5は卵胞発達、特に卵黄前駆物質の取り込みに関与する因子であることを前年度までの試験で明らかにしていることから、本研究によってANGPTL-5を介した、卵生産の効率化技術の構築が可能であることが明らかとなった。
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Asian-Australas J Anim Sci.
巻: 30 ページ: 印刷中
doi: 10.5713/ajas.16.0877.
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