研究課題
アジア・アフリカ地域のホットスポットに生息する希少動物種を生息域外保全するために、日本の動物園で飼育展示されているゾウ、サイ、チーターなどの希少動物種の繁殖生理を解明して繁殖に応用することが、この研究の目的である。そのために、これらの種の(1)発情周期や妊娠期間などにおける繁殖モニタリング、(2)繁殖モニタリングに必要な代謝産物や生理活性物質の解明、(3)1~3のモニタリングの結果から繁殖適期を把握した交配の実施などを行った。その結果、(1)飼育下のゾウ2種、サイ3種、モウコノウマ、ニシゴリラ、グレビーシマウマなどの血中や糞中のプロジェステロン値や尿中エストラジオールグルクロニド濃度などの変動から周年繁殖動物であることが判明したが、アムールトラやチーターなどのネコ科動物は交尾排卵動物であるが稀に自然排卵を起こす種であることが判明した。さらに、妊娠期間の繁殖生理や乳汁成分の変化も解明した。(2)各種の糞中に排泄されるステロイドホルモン代謝物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、20α-ヒドロキシプロジェステロン、5α-pregnane-3β-ol-20-one,5α-pregnan-3,20-dioneなど多くの代謝物が排泄されていることが明らかとなり、種に特徴的な代謝物を排泄物中で捉えることにより種々の内分泌状態を明らかにすることができるものと考えられた。(3)雌アムールヤマネコではPMSG200~300 IUとhCG200IUを筋肉内投与して過排卵誘起処理を行った後、hCG投与翌日に人工授精を実施した。その結果、アムールヤマネコでは発情と排卵を誘起することができたが、雌チーターにおいても同様な方法で実施したが排卵誘起には至らなかった。さらに、市販のイヌ用リラキシン簡易検出キットを用いて妊娠判定をネコ科動物などで行った結果、妊娠判定の指標として有用であることが判明した。
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J Vet Med Sci
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Theriogenology
巻: 87 ページ: 179-186
10.1016/j.theriogenology.2016.08.020
http://www1.gifu-u.ac.jp/~lar/