研究課題/領域番号 |
26450382
|
研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
古田 洋樹 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 准教授 (30366794)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ニワトリ / PGCs / 生殖腺キメラ |
研究実績の概要 |
ニワトリにおいて発生初期胚の段階で始原生殖細胞(Primordial germ cells:PGCs)移植により生殖腺系列キメラ鶏が作出されている。 ドナー胚とレシピエント胚の性が異なる移植(異性胚間移植)の場合、生殖腺に卵精巣様の異常が確認されている。そこで、PGCsと生殖腺の発達の関連について検討している。 ニワトリのPGCsは発生初期に生殖半月に現れ、stage12-15において胚周縁静脈の血流にのり、胚内に入り、stage 26で生殖腺に定住する。そこで、白色レグホンジュリアの受精卵をstage12-15まで孵卵を行ない、ドナー胚の胚周縁静脈からガラスマイクロピペットより血液(含PGCs)を採取し、同stageのレシピエント胚は卵殻に直径1cmの窓を開け、窓を介して胚周縁動脈へドナー胚由来のPGCsを移植した。窓はテープにより塞ぎ孵卵を継続した。ドナーは胚、レシピエントは血液からDNAを抽出し、CHD領域をPCR法によって増幅することにより雌雄判別を行なった。孵卵10日目に生殖腺系列キメラ胚の生殖腺を摘出しTotal RNAを抽出し逆転写酵素によりcDNA合成を行ない雄特異的遺伝子SOX9、雌特異的遺伝子FOXL2遺伝子の発現量とサブトラクション法によって雄個体と雌から雄に移植した生殖腺系列キメラ個体、雌個体と雄から雌に移植した生殖腺系列キメラ個体との遺伝子発現の相違を検討した。 PGCsの移植による生殖腺キメラではSOX9、FOXL2の遺伝子発現変化に有意差は認められなかった(P>0.05)。サブトラクション法においても明確な相違は確認されなかった。しかし、異性胚間移植の生殖腺に卵精巣様の異常は約30%という報告であり、個体別では遺伝子発現に変動が見られている、この1年間の供試胚数が少ないためキメラ作成を継続し、供試胚数を増やす必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新棟へ研究室の引っ越しがあり、初年度の前半まで研究室の機能が停止していたことが原因で、2年目の本年度も遅れ気味ではあった。しかし、その遅れも徐々に回復している。
|
今後の研究の推進方策 |
白色レグホンジュリアの受精卵をstage12-15まで孵卵を行ない、ドナー胚の胚周縁静脈からガラスマイクロピペットより血液(含PGCs)を採取し、同stageのレシピエント胚は卵殻に直径1cmの窓を開け、窓を介して胚周縁動脈へドナー胚由来のPGCsを移植することにより生殖腺系列キメラ胚を作出する。ドナーは胚、レシピエントは血液からDNAを抽出し、雌雄判別を行なう。孵卵10日目に生殖腺系列キメラ胚の生殖腺を摘出しTotal RNAを抽出し、cDNAライブラリーの作製を継続する。PGCsの移植パターン♂→♀、♀→♂の異性胚間移植によるPGCsがコントロールする遺伝子を調査する。鳥類では哺乳類のような性決定遺伝子SRYのような遺伝子は見つかっておらず、性分化に関わる遺伝子の発現が発生の進行によって調べられているため、本実験ではSOX9、FOXL2、AMH、P450aromataseに注目し、発現動態を検討する。また、サブトラクション法で新たな遺伝子発現の相違を調査する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新棟へ研究室の引っ越しがあり、初年度の前半まで研究室の機能が停止していたことが原因で、2年目の本年度も遅れ気味ではあった。その遅れも徐々に回復しているが、予算に関しては1年目の繰り越しも重なり、予算を消化するまでの回復まで至っていないため繰り越しを希望した。
|
次年度使用額の使用計画 |
PGCsと生殖腺分化に関する遺伝子発現のカスケードをPGC着目する。SOX9、FOXL2、AMH、P450aromataseに注目し、発現動態を検討する。また、サブトラクション法で新たな遺伝子発現の相違を調査する。
|