研究課題/領域番号 |
26450387
|
研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
高橋 秀彰 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所家畜育種繁殖研究領域, 主任研究員 (80399427)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 鶏 / 卵 / 脂肪酸組成 / 遺伝子多型 / 食味 |
研究実績の概要 |
これまでに研究代表者らによって、鶏肉の食味性とアラキドン酸との関連性、および鶏肉のアラキドン酸を増強する長鎖不飽和脂肪酸代謝遺伝子の一塩基多型(SNP)型が報告された。鶏肉と同様に、アラキドン酸を含む脂肪酸組成の違いが鶏卵の食味性に関わっている可能性がある。そこで本研究では、長鎖不飽和脂肪酸代謝に関わる3つの遺伝子(エロンガーゼ5(EL5)、デルタ5およびデルタ6デサチュラーゼ(FADS1およびFADS2)のSNP が、鶏卵の脂肪酸組成および食味性に及ぼす影響を解明すると共に、食味性が優れるSNP 型に固定した鶏群を作出する。 26年度は、岐阜県畜産研究所養鶏研究部が保有するロードアイランドレッド種集団における、3つの当該遺伝子型を決定した。その後、3遺伝子から構成される遺伝子型(EL5- FADS1-FADS2の順)が、AA-AA-AA(n=12)、TA-AG-AG(n=14)およびTT-GG-GG(n=14)である雌鶏が産んだ卵の、卵黄の脂肪酸組成を比較した。その結果、リノール酸は、AA-AA-AA型がTT-GG-GG型よりも有意に(p<0.05)高かった。エロンガーゼインデックス(ステアリン酸(C18:0)/パルミチン酸(C16:0))は、TT-GG-GG型がAA-AA-AA型よりも有意に(p<0.05)高かった。DHAは、TT-GG-GG型がAA-AA-AA型よりも高い傾向(p<0.1)があった。一方、アラキドン酸では、目立った差が認められなかった。これらの結果から、鶏卵における当該3遺伝子の効果は、γ-リノレン酸からDHAに至るn-3系脂肪酸代謝経路において顕著であるが、リノール酸からアラキドン酸に至るn-6系脂肪酸代謝経路では顕著ではないことが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、26年度から27年度にかけて、長鎖不飽和脂肪酸代謝遺伝子型が鶏卵の脂肪酸組成および食味性に及ぼす影響を解明することになっている。26年度は、計画通り、遺伝子型が異なる雌鶏が産んだ鶏卵の脂肪酸組成の比較を実施し、当該遺伝子型が脂肪酸組成に及ぼす影響をほぼ明らかにできた。しかしながら、遺伝子型が異なる鶏卵の脂肪酸組成の比較を、27年度においても反復することによって、遺伝子型と卵の脂肪酸組成の関連性をより確定させることができると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
27年度は、26年度の脂肪酸組成の比較を反復し、雌鶏の遺伝子型とその雌鶏が産んだ卵の脂肪酸組成の関連性を確定させる。また、TT-GG-GG型とAA-AA-AA型の雌鶏が産んだ卵の食味性の違いを明らかにするため、官能評価を実施する。また、岐阜県畜産研究所養鶏研究部が保有する育種素材(ロードアイランドレッド種)の遺伝子選抜を、当初計画通り開始する。
|