研究実績の概要 |
本年度は、前年度までの9品種・系統に加えて1品種1系統の各種行動実験を行い、すべての品種系統のオスについて、ドーパミンD2及びD4受容体(DRD2, DRD4)、モノアミン・オキシダーゼ2部位(MAO4, MAO9)、セロトニン・トランスポーター2部位(ST2, ST10))、PMEL17について解析を完了した。(1) 幼雛期における行動反応は、品種/系統間での違いが示され、とりわけ八木戸では著しく異なることが認められた。成長後ではこのような品種/系統差が不明確になるものの、一部の行動反応において幼齢期での反応と相関のあることが明らかとなった。(2) セロトニン・トランスポーター2および10において八木戸固有のアリルが確認された。(3) モノアミン・オキシダーゼとセロトニン・トランスポーターについては行動反応との間に関連性が示され、これら遺伝子多型が行動特性の指標として有効であることが明らかとなった。(4) PMEL17遺伝子多型については第7エキソンの72 bpを1単位とする反復数において、3つのアリル(2回、3回、4回)が認められた。4回反復は八木戸および攻め鶏のみに認められた。闘鶏用シャモは肉用シャモに比べ、3回反復のアリルが高頻度で認められた。反復数2 / 2および2 / 3型と3 / 3および3 / 4型とで比較したところ、後者の攻撃反応とPecking回数が高くなる傾向が認められた。 以上の結果から、拘束、不動姿勢及び突き反応試験は、鶏の行動特性の分類指標になること、それらとモノアミンあるいはPMEL17関連遺伝子多型との間に関連性のあることことが示唆された。
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