研究課題
本課題は筋肉培養細胞系を用いて、有用な家畜の創出のためのバイオマーカーの候補としてPax7とsemaphorin3a (Sema3a)に着目して解析を行っている。平成26年度は研究実施計画通りに進行し、順調に結果を得ている。本研究では筋肉細胞におけるペアードボックス遺伝子Pax7と神経ガイダンス因子として知られるSema3Aがどのような関連性を持って筋肉分化を制御しているのか解析を進めている。当初の研究計画に記載した解析はほぼ終了した。強制発現ベクターを用いたGain of Functionの実験系とsiRNAの導入により目的遺伝子の発現阻害を行うLoss of Functionの実験系を併用している。この解析系により、Pax7とSema3Aはお互いの発現に影響を与えさらに、筋分化マーカーの発現制御にも関わっていることを明らかにした。現在は平成26年度のの解析結果をまとめ論文を投稿予定である。また、平成27年度に予定している培養細胞系を用いた解析を引き続き継続する他にゼブラフィッシュ動物モデル系を用いたin vivoでの検証も行う予定としている。
2: おおむね順調に進展している
1. 変異体を用いたPax7, Sema3Aの相互作用の解明では、mycタグを用いた強制発現ベクターを作製した。発現確認のため、NIH3T3細胞系に導入しmyc抗体を用いてウェスタンブロッティングを行ったところ、pax7,Sema3Aともにシグナルを確認した。次に、筋芽細胞および非筋細胞に導入してその効果の検証を行っている。筋芽細胞に、myc-Sema3A, myc-Pax7をリポフェクション法により導入を行った。その結果、myc-Sema3Aを導入により内在性のPax7の発現上昇が認められた。さらに、myc-Pax7を導入により、Sema3Aの発現にも上昇が見られた。この結果よりPax7, Sema3Aの発現調節にはお互いが影響を与え合うことが明らかとなった。2. siRNA法を用いたPax7, Sema3Aの発現阻害が筋肉分化に与える影響の解析も進めている。Pax7およびSema3Aの発現阻害は筋分化マーカーの発現に影響を与え、Pax7の発現阻害においてはMyofiber formationの阻害も認められた。
現在は平成26年度のの解析結果をまとめ論文を投稿予定である。また、平成27年度に予定している培養細胞系を用いた解析を引き続き継続する他にゼブラフィッシュ動物モデル系を用いたin vivoでの検証も行う予定としている。ゼブラフィッシュではすでにPax7とSema3Aのアンチセンスモルフォリーノを導入し、ゼブラフィッシュ全細胞でのノックダウン実験系を開始している。これにより培養細胞系で得たデータの個体内での検証を行うことが可能である。培養細胞を用いた実験系ではPax7とSema3Aがお互いの発現に影響を及ぼすことは明らかとしたが、そのメカニズム解明にはまだ不明な点が多い。さらに、Sema3Aについては分化とともに細胞内での局在の変化がみられることから、この発現局在の変化と機能についてもさらに解析を進めていく予定である。
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