研究課題/領域番号 |
26450393
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
松浦 晶央 北里大学, 獣医学部, 准教授 (50406899)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 日本在来馬 / 動物介在活動 / アニマルウェルフェア / ストレス / 最大許容負荷重量 / 乗用馬 / ホーストレッキング / 画像解析 |
研究実績の概要 |
日本在来種の一種であるヨナグニウマのストレスを把握するため、採血、心電図測定、行動観察を与那国島のヨナグニウマふれあい広場で行った。7頭の馬で測定を行った。また、牧場長の案内のもと、ヨナグニウマの放牧地や飼育施設の見学も行った。さらに、関連牧場のうみかぜホースファーム(沖縄県南城市)の見学も行った。うみかぜホースファームでは、代表の案内のもと、飼育施設の見学と動物介在活動に関する情報交換を行い、海でのホーストレッキング(海中HT)の見学も行った。海中HTもしくは常歩と速歩を含んだHT(陸上HT)を行い、運動前後のストレス応答を評価した結果、血漿中コルチゾール濃度は、海中HTおよび陸上HTで運動直前より運動2時間後に低下した(P < 0.05)。交感神経系のストレス指標は、海中HTで陸上HTより低い傾向があった(P < 0.1)。また、前肢による身繕い行動の頻度はコントロールより海中HTで減少した(P < 0.05)。以上より、海中HTと陸上HTはヨナグニウマに少なくとも大きなストレスを与えるものではなく、特に海中HTはヨナグニウマのストレス応答にほとんど影響を与えないと考えられた。 乗用馬の飼育管理上のストレス応答を把握するため、電気牧柵に初めて接する乗用馬を用いて、固定柵と電気牧柵におけるストレス応答の違いを検討した。北海道和種馬を含む3頭の馬を用いて血漿中コルチゾール濃度と心電図のサーカディアンリズムを測定した。両条件下で、血漿中コルチゾール濃度には朝方から夕方にかけて減少し、夕方から朝方にかけて上昇するサーカディアンリズムが見られた。また、血漿中コルチゾール濃度は、時間帯によってはむしろ固定柵の方で電気牧柵より高い結果となった(P < 0.05)。心電図は24時間安定に採取することができなく、自律神経系ストレス応答のサンプリング手法に課題が残った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の大きな目的は1)馬が正常な歩法を維持できる騎乗者の適正体重と2)ホーストレッキング時の種々のストレッサーに対するストレス応答の把握である。2)については、ヨナグニウマにおける研究結果がまとまったため、対州馬の研究を実施するのみである。1)については駆歩時における最大許容負荷重量を把握するための手法を確立している段階であり、これについては画像解析と加速度計解析の2方面から検討を行っている。円形馬場における予備実験を重ねて手法の確立を急いでいる。 以上、おおむね順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
最大許容負荷重量の推定法の確立を行った後、木曽馬を用いて駆歩における測定を実施する。また、対州馬でホーストレッキングによるストレス応答を測定するための準備を行う。それと同時に、これまで得られた結果を学会や学術雑誌に公表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度末に学会発表があり、当該年度中に清算できなかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
学会発表のための旅費にあてる。
|