研究課題
日本在来馬は小さいながらも温厚な性質を持つため、動物介在活動・療法用のウマとして大きな可能性を持っているが、その行動学的・運動生理学的特徴はあまり把握されていない。そこで、日本在来馬を動物介在活動・療法用として安全かつ有効に活用するため、本研究では1)騎乗者の適正体重の上限と2)種々のストレッサーに対するストレス応答について研究した。騎乗者の適正体重は、駈歩・曲線コースという最も過酷な環境で、10頭の与那国馬を用いて測定した結果、最大許容負荷重量は60 kg、すなわち、馬体重の29%未満であると決定できた。鞍などの馬装重量を考慮すると、与那国馬で駈歩する場合、騎乗者体重の上限は50 kgに設定すべきであると結論付けられた。海中(海中HT)あるいは陸上(陸上HT)をホーストレッキングする際のウマのストレスについて、7頭の与那国馬を用いて測定した結果、血漿中コルチゾール濃度は、海中HT及び陸上HTにおいて運動直前より運動2時間後に低下した。交感神経系のストレス指標であるLF/HFは、海中HTで陸上HTより低い傾向があった。副交感神経系のストレス指標であるHFは、海中HTにおいて運動前よりも運動後で低下した。行動指標として、偽咀嚼の時間は運動前よりも運動後に長く、前掻きの回数はコントロールと比較して海中HTにおいて減少した。以上より、海中HTと陸上HTは与那国馬に少なくとも大きなストレスを与えるものではなく、特に海中HTではストレスは殆どないことが明らかとなった。この他、電気牧柵での管理によるストレスを把握するため3頭の乗用馬を用いて血漿中コルチゾール濃度と心電図RR間隔変動の概日リズムを測定したところ、両者ともに乱れはなかったことから、乗用馬の管理方法として電気牧柵を積極的に活用すべきだと考えられた。
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Animal Science Journal
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10.1111/asj.12801
東北畜産学会報
巻: 66 ページ: 65-71
巻: 88 ページ: 173-179
10.1111/asj.12584
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