研究課題/領域番号 |
26450395
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
小澤 壯行 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 教授 (30247085)
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研究分担者 |
牛島 仁 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 教授 (10549562)
長田 雅宏 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 准教授 (40610712)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 酪農経営 / 後継牛 / 性判別 / 精液 / 受精卵 / 収益性 / アンケート |
研究実績の概要 |
山梨県下の後継牛確保と性選別技術の利用,および乳牛の供給先である北海道の初妊牛生産の現状を性選別技術利用の視点から明らかにした。 平成28年7月に山梨県下のJAクレインおよびJA梨北等に所属する酪農家31戸から「酪農経営に関するアンケート」回答を得た。集計データは後継牛確保比率を基に,①自家育成型,②育成預託型,③乳牛導入型に類型化した。また,8月に北海道JA釧路丹頂農協管内の酪農家からは124戸の有効回答数を得た。 この結果、山梨県では初妊牛外部導入が主流である反面、育成預託型の未経産/経産牛比率は38%と高く,性選別精液の利用率および受精卵移植率も高値を示すことから,効率的に後継牛を確保している。また,自家育成型の飼養頭数規模は最も大きく,粗飼料自給率も高い。性選別精液を利用している階層は,していない階層と比較して,全ての経営・技術指標において有意に上位にあった。 一方、北海道の性選別技術の利用者は,①担い手確保率が高く,今後の経営展開において拡大志向にあり、②飼養頭数規模が大きく,③労働力当たり出荷乳量が高いことから労働生産性が高い経営体である。また,性判別受精卵利用者は飼養頭数規模の大きい,いわゆるメガファームと呼ばれる経営階層であった。初妊牛供給源の北海道では,まず自らの経営に必要な後継牛を優先的に確保し,それ以外は好調な肉牛相場の影響により産子に黒毛和種を用いているため、初妊牛増産に直接は繋がっていない。つまり北海道における性選別技術は,効率的に後継牛を確保するには有効な技術であるが,都府県の乳牛不足を解消していない。都府県酪農の経営基盤を強化するためには,経営内で後継牛を確保し,自家育成ができない場合は預託を活用する方法が有用であろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究報告の場として平成28年度末に日本畜産学会大会が神戸大学において開催された。そのデータ分析に時間を要したこと、北海道の草地酪農地帯における調査分析数が不足していることがあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
北海道浜中町農業協同組合の協力により、全酪農家を対象としてアンケートおよびヒヤリングを実施して、性判別技術の今日的な経営的位置づけを明確にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
草地酪農地帯における課題へのアプローチが弱く、調査候補地の選定に手間取ってしまいました。幸い平成28年度末に北海道浜中町の農業協同組合が万全の体制で調査研究への協力を申し出てくれています。
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次年度使用額の使用計画 |
北海道浜中町において全酪農家を対象としたアンケート調査を実施する。当該結果をとりまとめ、学会・研究会等において報告し、論文を執筆する。
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