シアル酸認識免疫グロブリン様レクチンSiglec-9の可溶型分子(sSiglec-9)を発現するトランスジェニックマウスではMUC1発現腫瘍の増殖や悪性化が阻止されることが明らかになった。また、この抗腫瘍機構は宿主の免疫系を介して間接的に働くことが示唆された。一方、sSiglec-9はMUC16発現腫瘍では腫瘍増殖をむしろ活性化する傾向が示唆された。以上より、Siglec-9は腫瘍細胞で発現するムチン類と相互作用して腫瘍増殖や悪性化に関与することが示され、これらの知見はSiglec-9を介した癌の分子標的治療法を見いだす糸口となると考えられた。
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