研究課題
①目的;Vibrio vulnificus (V.v.)の生体内における生存必須遺伝子の網羅的同定ヒトに致死的敗血症を引き起こすV.v.の生体内生存に必須の遺伝子を同定するため、V.v.のマウス感染モデルを用いて、Signature tagged transposon mutagenesis (STM)法を実施する。生体内生存に必須の遺伝子の中から、特に生体内での生存に重要な役割を持つ遺伝子をピックアップし、その機能を解析して、抗生剤に依存しない新規感染症制御法の開発に繋げる。②研究成果;1)宿主体内での生存に必須な遺伝子の同定マウスの腹腔内あるいは皮下接種におけるSTM法を実施した結果、宿主体内での増殖が不可能な変異株を35クローン得ることができた(腹腔内接種;22クローン、皮下接種;13クローン)。これら変異株の内、10クローンについてトランスポゾン挿入遺伝子の同定を行い、新規の遺伝子を7遺伝子同定することに成功した。特にマウスに対する致死性が著しく低下している遺伝子を同定したところ、同一機能を担う遺伝子群に集約された。現在、これら遺伝子の生体内での機能を解析中である。2)感染モデルの作製;V.v.感染症は、感染者の8割が慢性肝疾患患者である。そこでマウスに肝障害を誘導してV.v.の経口感染を試み、生体内でのV.v.の動態を解析した。その結果、経口投与されたV.v.は、腸管から門脈を介して肝臓へ流れ込み、全身循環に達して脾臓から検出されることが明らかとなった興味深いことに、生存したマウスの脾臓からは全くV.v.が検出されなかった。すなわち、脾臓における感染菌のクリアランスが生死を分けるポイントとなっている可能性が明らかとなった。
1: 当初の計画以上に進展している
26年度の計画では、マウスへの感染条件を決定し、STM法により変異株を選出して、その責任遺伝子を同定するまでとしていた。その予想を上回り、実験動物に対する致死性が著しく低下している変異株の変異遺伝子を複数同定したところ、同一機能を担う遺伝子に集約されることが明らかとなり、その遺伝子の宿主体内における機能の解析にまで着手出来ている。また、計画していた網羅的変異株の検出においても、予想を遥かに上回る精度で多くのク変異株が得られている。
最終目的である抗生物質に依存しない、あるいは併用可能な重症敗血症の新規治療法の開発を可能にするため、現在までに同定済みであるV.v.の宿主体内での増殖に必須の遺伝子に加え、新たな遺伝子を複数同定しておくことが肝心である。そのため、マウスに対する致死性が著しく低下する変異株をできるだけ多く選出し、その遺伝子を同定して機能解析へと進む。今年度までに同定した遺伝子の機能解析は計画通り進める。
ほぼ計画通りに使用したが、若干の差額が生じた。
今年度使用予定の消耗品購入に充てる。
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FEMS Microbiol Lett.
巻: 362 ページ: 未定
10.1093/femsle/fnv005.
J Vet Med Sci.
巻: 未定 ページ: 未定
http://www2.vmas.kitasato-u.ac.jp/publichealth/bei_li_da_xue_yi_gong_zhong_wei_sheng_xue_yan_jiu_shi/Publications.html