わが国の鹿323頭の直腸便から志賀毒素産生大腸菌(STEC)の分離を行ったところ、38頭(11.8%)から49株のSTECが、9頭(2.8%)から9株のO157が分離された。分離株は志賀毒素遺伝子や細胞接着因子などの病原関連遺伝子を保有していた。O157株の系統解析では、1株は出血性下痢患者由来株が多く含まれるClade7に、8株は水様性下痢の患者由来株が多く含まれるClade12にそれぞれ分類された。 鹿由来STEC 31株について、24種類の病原関連遺伝子の保有パターンにより系統解析を行ったところ、O5 STEC2株は人患者由来株と類似したパターンであり、人に病原性を示す可能性が示唆された。
|