研究課題/領域番号 |
26450418
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
福士 秀悦 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (80373398)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | MERSコロナウイルス / 抗体測定 |
研究実績の概要 |
2012年に見つかった新型コロナウイルス、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスは、ヒトに感染すると重篤な呼吸器症状を引き起こす。このウイルスの自然宿主動物はいまだ判っていない。ヒトへの感染経路を解明するためには、ウイルス抗体保有調査を多くの動物種で広範囲に行う必要がある。本研究ではMERSコロナウイルス特異的抗体検出法を開発し、自然宿主動物の同定に向けた基盤技術を構築することを目的とする。平成26年度はバキュロウイルス発現系によるMERSコロナウイルスNおよびSの発現と精製を行い、これをウサギに免疫することにより、抗Nおよび抗S血清を得ることができた。抗Nの反応性をMERSコロナウイルスN発現細胞を用いた蛍光抗体法で、抗Sの反応性をMERSコロナウイルスに対する中和反応により確認した。これらの抗血清は、MERSコロナウイルスの抗体測定のポジティブコントロールとして用いることができる。 MERSコロナウイルス抗体測定の特異性を評価するためには、ヒトに感染するコロナウイルス(OC43, NL63, HKU-1およびSARSコロナウイルス)の抗原及び、これらに対する抗血清が必要となる。平成26年度は、まずヒトに感染するコロナウイルスのS蛋白質の発現に着手した。今後、MERSコロナウイルスに加え、これらに対する抗体をウサギあるいはマウスを用いて作製する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MERSコロナウイルスおよびその他のコロナウイルスの蛋白質の発現を順調に行った。MERSコロナウイルスに対するポリクローナル抗体の作製を行い、これらの特異性も確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
MERSコロナウイルスS蛋白質を被ったVSVシュードタイプの作製に着手する。ハイスループット抗体測定法の確立のため、従来のGFPを持つVSVシュードタイプではなく、ルシフェラーゼ等、酵素反応でシュードタイプの感染が検出できるようにデザインする。また、モノクローナル抗体の作製にも着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末納品等にかかる支払いが平成27年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成26年度分についてはほぼ使用済みである。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した分は前年度計画から継続している実験(抗体精製等)のために使用する。 H27年度助成金は研究計画に沿って、抗血清の作製、ELISA法確立のための試薬、器具の購入、および研究成果発表のための出張等に使用する。
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