研究課題
2012年に見つかった新型コロナウイルス、MERSコロナウイルスは、ヒトに感染すると重篤な呼吸器症状を引き起こす。H26年度からの本研究課題で、MERSコロナウイルスの自然宿主同定、血清疫学的研究を進めるためのMERSコロナウイルス特異的抗体検出法の構築を目的として、MERSコロナウイルス蛋白質の発現、抗体作製を行ってきた。H27年度はMERSコロナウイルスのS蛋白質を被ったVSVシュードタイプを作製した。このVSVシュードタイプの感染はMERSコロナウイルスに対する中和抗体および、MERSコロナウイルスのレセプターである、CD26(DPP4)に対する抗体で阻害された。このことから、作製したVSVシュードタイプはMERSコロナウイルスそのものと同等の感染特異性を示すことが明らかになった。また、MERSコロナウイルスのSに対するモノクローナル抗体の反応性をMERSコロナウイルス抗原を用いたELISAおよび蛍光抗体法で確認した。今後、これらのモノクローナル抗体を利用した競合ELISA法による抗MERSコロナウイルス抗体特異的検出法の検討を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
MERSコロナウイルス蛋白質の発現、抗体作製、MERSコロナウイルスのSを被ったVSVシュードタイプの作製について概ね順調に行うことができた。
MERSコロナウイルス以外のコロナウイルスの蛋白質発現を継続して行う。これらを抗原として用いることにより、本研究で開発した抗体検出法の特異性を確認する予定。MERSコロナウイルスに対するモノクローナル抗体を用いてMERSコロナウイルス抗体特異的な競合ELISAを開発する。
年度末納品等にかかる支払いが平成28年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成27年度分についてはほぼ使用済みである。
上記のとおり。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
PLOS Neglected Tropical Diseases
巻: 10(4) ページ: e0004595
doi: 10.1371/journal.pntd.0004595.
Inability of rat DPP4 to allow MERS-CoV infection revealed by using a VSV pseudotype bearing truncated MERS-CoV spike protein.
巻: 160(9) ページ: 2293-2300
doi: 10.1007/s00705-015-2506-z.