MERSコロナウイルス自然宿主動物同定に向けた基盤技術の構築

2017 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26450418
• 研究機関: 国立感染症研究所
• 研究代表者: 福士 秀悦 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (80373398)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2018-03-31
• キーワード: MERSコロナウイルス / モノクローナル抗体 / 競合ELISA

研究実績の概要

平成26年度からの本研究課題でMERSコロナウイルスの自然宿主同定、血清疫学的研究を進めるためのMERSコロナウイルス特異的抗体検出法の構築に取り組んできた。ウイルスそのものを用いた中和抗体測定法は抗体測定のゴールドスタンダードであるが、MERSコロナウイルスの取り扱いにはバイオセーフティレベル３実験室での作業が必要である。平成28年度までにMERSコロナウイルスのS蛋白質を被ったVSVシュードタイプを作製し、MERSコロナウイルスそのものを用いない安全でハイスループットな中和抗体測定法を構築した。さらにMERSコロナウイルスのS蛋白質に対するモノクローナル抗体を用いた、競合ELISAによるMERSコロナウイルス特異的抗体検出法を考案した。平成29年度は、引き続きモノクローナル抗体を用いた、競合ELISAによるMERSコロナウイルス特異的抗体検出法の構築とその有用性の検証を行った。モノクローナル抗体は重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルスおよび、MERSコロナウイルスに近縁なコウモリコロナウイルスHKU4およびHKU5のS蛋白質に反応せず、MERSコロナウイルスに特異的であることを明らかにした。さらに、MERSコロナウイルスを免疫した動物血清を用いて、競合ELISAによるMERSコロナウイルス特異的抗体検出法の検討を行った。本手法は動物種特異的な二次抗体を必要としないため様々な動物種の血清に応用可能であることから、MERSコロナウイルスの自然宿主同定のためのツールとなると考えられた。本手法の特許申請を行った。また、本研究成果を国際学会、国際誌で公表した。

研究成果

• [雑誌論文] Characterization of novel monoclonal antibodies against the MERS-coronavirus spike protein and their application in species-independent antibody detection by competitive ELISA (2017)
  • 著者名/発表者名: Fukushi S, Fukuma A, Kurosu T, Watanabe S, Shimojima M, Shirato K, Iwata-Yoshikawa N, Nagata N, Ohnishi K, Ato M, Melaku SK, Sentsui H, Saijo M
  • 雑誌名: J Virol Methods 巻: 251 ページ: 22-29
  • DOI: 10.1016/j.jviromet.2017.10.008
  • 査読あり / 国際共著
• [学会発表] VSV pseudotype and monoclonal antibody-based assays for determining MERS coronavirus neutralizing antibody responses (2017)
  • 著者名/発表者名: Shuetsu Fukushi, Aiko Fukuma, Hideki Tani, Takeshi Kurosu, Satoshi Taniguchi, Kazutaka Egawa, Masayuki Shimojima, Kazuya Shirato, Shutoku Matsuyama, Hanako Sekimukai, Naoko Iwata-Yoshikawa, Noriyo Nagata, Kazuo Ohnishi, Hiroshi Sentsui, and Masayuki Saijo
  • 学会等名: XIVth International Nidovirus Symposium
  • 国際学会
• [学会発表] Characterization of novel monoclonal antibodies against MERS-coronavirus (MERS-CoV) spike protein and their application in competitive ELISA for detecting antibodies to MERS-CoV (2017)
  • 著者名/発表者名: Shuetsu Fukushi, Takeshi Kurosu, Shumpei Watanabe, Masayuki Shimojima, Kazuya Shirato, Shutoku Matsuyama, Naoko Iwata-Yoshikawa, Noriyo Nagata, Kazuo Ohnishi, Manabu Ato, Hiroshi Sentsui, and Masayuki Saijo
  • 学会等名: 第65回日本ウイルス学会学術集会
• [産業財産権] MERS コロナウイルスのS 蛋白質に対するモノクローナル抗体を利用 したMERS コロナウイルス特異抗体検出法 (2017)
  • 発明者名: 福士秀悦,大西和夫,松山州徳,白戸憲也,岩田奈織子,永田典代
  • 権利者名: 国立感染症研究所
  • 産業財産権種類: 特許
  • 産業財産権番号: 特願2017-107132