研究課題/領域番号 |
26450419
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
李 天成 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (90370957)
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研究分担者 |
網 康至 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (10202699)
石井 孝司 国立感染症研究所, その他部局等, その他 (40280763)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 動物モデル / 細胞培養 / 病原性 / フェレット / ferret HEV |
研究実績の概要 |
1.Ferret HEVの培養細胞系を樹立 Ferret HEV陽性のフェレット便乳剤を濾過除菌してから、ヒト肝癌細胞PLC/PRF/5に接種し、経時的に培養上清を採取し、ウイルス抗原とRNAをELISAあるいは RT-PCRにより測定した。その結果、接種後一ヶ月から培養上清からFerret HEV抗原、Ferret HEV RNAが検出された。この培養上清をフェレットに接種するとフェレットの血清糞便からFerret HEVが検出された。この結果、Ferret HEVはPLC/PRF/5細胞で増殖することが示唆された。培養で獲得したferret HEVをフェレットに経口接種したところ、ウイルスの増殖が確認されたし、一部のフェレットにALTが上昇することが確認された。 2.Ferret E型肝炎ウイルスの病原性とE型肝炎動物モデルの検討 アメリカから輸入されたフェレットから経時的に採血と採便を行ない、血液中のウイルス抗原、抗体、ウイルス遺伝子、便中のウイルス抗原、抗体、およびウイルス遺伝子を測定した。また、血中のALT/AST、γGTPを測定することにより、ウイルスの感染の特徴および病原性等を検討した。アメリカから輸入したフェレットでは、ferret HEV感染後にALT、ASTが上昇し、ウイルス感染と肝機能障害の関連が示唆された。フェレットにおけるferret HEVの感染は不顕性感染、急性肝炎、持続感染という3つのパターンをとることが示された。HEVの動物モデルがいまだ樹立されていないため、ウイルスの複製よび肝炎発症の機序は依然不明である。サルはHEV実験動物モデルとして使われているが、経口感染が成立しないことや臨床症状がはっきりしない等の欠点がある。本研究ではferret HEVが感染したフェレットでは肝炎が引き起こされ、一部のフェレットでは持続感染が観察された。フェレットを動物モデルとして利用できれば、HEVの感染様式、肝炎の発生機序、持続感染の原因の究明およびワクチンの開発に大いに有用であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
客観的に実験計画省を作成したうえ、忠実に実験計画を実施していた。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画書どおりに研究を進む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末納品等にかかる支払いが平成28年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。 平成27年度分についてはほぼ使用済みである。
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次年度使用額の使用計画 |
上記のとおり。
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