研究課題/領域番号 |
26450426
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
酒井 洋樹 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (40283288)
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研究分担者 |
村上 麻美 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (30597125)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 犬 / 血管肉腫 / peroxiredoxin 6 / 培養細胞 / RNA干渉 |
研究実績の概要 |
前年度において,MUC1抗体として入手可能な抗体は,犬のPeroxiredoxin 6を認識していることを明らかにした。また,自然発生の犬の血管肉腫において,良性の血管腫に比較してPeroxiredoxin 6の発現が高いことが分かっており,本年度では,犬の血管肉腫細胞株における,腫瘍細胞の増殖に対するPeroxiredoxin 6の関与をin vitro で検討した。 犬Peroxiredoxin 6のノックダウンによる血管肉腫細胞への影響を検討するために,犬の血管肉腫腫瘍細胞株であるUd2,Re21,JuB2,JuA1を用い低分子干渉RNA(siRNA)法を用いた。犬Peroxiredoxin 6に対するsiRNAを数種類作製(stealth RNAi, invitrogen 受託 )し,1nM, 10nMの濃度で,RNAmax(invitrogen)を用いて,48および72時間インキュベートして,犬Peroxiredoxin 6の発現の抑制を検討した。また,コントロールとして同じ塩基比率で配列の異なるスクランブルRNAを用いた。その結果,犬Peroxiredoxin 6 mRNAはコントロールに比較して有意に減少し,また犬Peroxiredoxin 6 たんぱく質の量も有意に減少していた。さらに,細胞増殖活性も有意に抑制された。以上の点から,犬の血管肉腫において,Peroxiredoxin 6が増殖や細胞生存に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Peroxiredoxin 6が血管肉腫の腫瘍細胞の増殖および細胞生存に関与することが明らかとなり,今後どのようなメカニズムが関与するかを調べることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
Peroxiredoxin 6は抗酸化作用をを介して,酸化ストレスから細胞を保護する働きを有すると考えられる。本年度の研究成果からPeroxiredoxin 6を減少させると血管肉腫の腫瘍細胞の増殖が抑制されることが明らかとなったので,その増殖抑制や細胞死滅がどのようなメカニズムで起こるかを検討する。特に,アポトーシス誘導に焦点を当てる予定である。
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