研究課題/領域番号 |
26450430
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
松鵜 彩 鹿児島大学, 獣医学部, 特任准教授 (40348595)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非霊長類ヘパシウイルス / GLIPS法 / 犬インフルエンザ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は日本の犬と猫におけるインフルエンザウイルスおよびヘパシウイルス感染状況を明らかにすることである。平成27年度は①犬および猫の血清および鼻腔スワブ検体の収集、②ヘパシウイルス検出系および抗体価測定の確立を行った。 ①鹿児島県内における飼育動物および野外での捕獲動物から定期的に採血を実施し、血清および鼻腔スワブ検体を採取した。②非霊長類ヘパシウイルス(NPHV)はヒトC型肝炎ウイルス(HCV)のホモログとされ、米国のシェルター犬から初めて発見されたが、その後の調査により本ウイルスは犬よりも馬に高率に感染していることが確認された。我が国の犬におけるNPHVの蔓延状況についての調査を開始するにあたり、平成26年度はまず馬血清を用いて、real-time RT-PCR法によるNPHV遺伝子の検出系およびGaussia luciferase immunoprecipitation system (GLIPS) 法によるNPHV NS3蛋白に対する抗体測定系を確立した。この系を用いて日本における馬453頭のNPHV感染状況を調査したところ、抗体陽性率33.5%およびウイルス遺伝子陽性率13.7%であり、高率な感染状況が明らかとなった。また日本の馬から検出されたNPHV遺伝子の系統樹解析を実施したところ、米国にて報告された犬ヘパシウイルスと極めて近縁なウイルスが我が国の馬にも存在することも明らかとなった。 次年度は本系を用いて犬におけるNPHV感染状況について解析を進める予定である。またインフルエンザウイルス感染状況について、平成26年度に収集した検体を用いてHI試験および中和試験を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
犬へパシウイルス抗体価測定方法の確立は、当初の予定では平成27年度に実施する予定であったが、年間を通して実施する犬検体の収集と同時進行で行った。 今年度収集した血清検体を用いたインフルエンザウイルス抗体価の測定は平成27年度に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度は鹿児島県の野鳥からH5N8亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスが継続的に分離された。申請者らの所属部署では野鳥におけるインフルエンザの確定診断を実施し、分離株を保有している。野鳥から哺乳動物、特に野外で活動歴のある犬や猫におけるウイルス感染状況は興味深い点であり、本ウイルスに対する抗体価の測定も追加して実施する予定である。
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