研究課題
犬血液は大学付属動物医療センターより検査後の余剰分として、過去5年間に渡って684検体の供給を受けた。これらの末梢血単核球より抗体と磁気ビーズを用いてCD8陽性T細胞と抗原提示細胞を単離し、犬メラノーマのがん関連抗原となりうる蛋白質melan-A、survivin、TRP-2について、MHC class Iの抗原エピトープとなる6種ないし12種の合成ペプチドを予測して準備し、それらのペプチドを抗原提示細胞に添加、X線照射で抗原提示細胞の増殖活性を除去した後に、CD8陽性T細胞と混合培養した。どのペプチドに反応してCD8陽性T細胞が増殖するかをスクリーニングした。その結果、melan-Aは66検体、survivinは81検体、TRP-2は64検体に活性を検出した。これらの活性の見られた細胞からゲノムDNAを抽出後、DLA-88型をタイピングし、最終的に、CD8陽性T細胞の活性化能を有するペプチドが、どのDLA-88型に反応したのかを検証した。現時点で、melan-AについてDLA-88型のタイピングを終え、犬種、DLA-88型、6種ペプチドの活性を記載した表が完成した。1個体2アレルのDLA-88型が存在するとして、活性のないDLA-88型が偶然に活性のあるDLA-88型と1度組合わさる確率は38.1%で、2度起きる確率は3.2%となり、統計学的に5%未満を有意差ありとすると2回以上検出された21種のDLA-88型が活性ありと判定された。これに合致するDLA-88型は、高親和性を示す003:02、017:01、501:01、028:01、029:01、508:01、nov15*、nov25*の8種と低親和性を示す001:03、004:02、005:01、006:01、012:01、032:01、051:01、502:01、nov6*、nov8*、nov9*、nov17*、nov24*の13種が判明した。(*;新規についての正式な型は未定)今後、survivin、TRP-2についても検討し、ペプチド活性のあるDLA-88型を決定していく予定である。
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J Comp Pathol
巻: 156(2-3) ページ: 78-182
10.1016/j.jcpa.2016.11.273.