研究課題/領域番号 |
26450436
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
印牧 信行 麻布大学, 大学病院, 准教授 (40139530)
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研究分担者 |
水木 信久 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90336579)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 緑内障 |
研究実績の概要 |
緑内障は視神経に障害をきたす進行性の難治性疾患であり、症状の悪化により失明に至る疾患である。ヒトだけでなく犬においても有病率が高く、緑内障で一度失った視野は回復しないため、早期発見・早期治療が極めて重要な疾患である。緑内障の発症には何らかの遺伝要因が関与していると考えられているため、その遺伝要因を解明することは疾患の早期発見・早期治療に繋がることが期待される。私たちの研究グループはこれまでに、犬とヒトに共通する緑内障発症の遺伝要因としてSRBD1遺伝子を見出している(PLoS ONE 2013; 8(9): e74372.)。本研究では、SRBD1遺伝子を対象に詳細な遺伝子解析を進め、緑内障とSRBD1遺伝子の相関性を明確にするとともに、疾患発症に対するSRBD1遺伝子の作用機序を検討する。 平成26年度までに、柴犬およびシー・ズー犬を対象に、SRBD1遺伝子領域を網羅する計19個のSNPsについてTaqManアッセイを用いた遺伝子多型解析を実行し、各々の犬種において緑内障と有意な相関を示すSNPsを複数見出している。平成27年度は、アメリカン・コッカー・スパニエル(緑内障2例、非緑内障41例)、ミニチュア・ダックスフンド(緑内障3例、非緑内障40例)およびビーグル(緑内障2例、非緑内障39例)の3犬種を対象に、TaqManアッセイを用いてSRBD1遺伝子領域を網羅する計19個のSNPsの遺伝子多型解析を行った。いずれの犬種においても、緑内障と有意な相関を示すSNPは認められなかった。一方、3犬種の結果を統合したメタ解析により、緑内障と相関の可能性を示唆するSNPsが複数認められた(P<0.10)。 以上より、SRBD1遺伝子領域内のSNPsが、柴犬およびシー・ズー犬だけでなく、他の犬種においても緑内障の発症に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、イヌの緑内障の発症に直接関与するSRBD1遺伝子内の疾患責任遺伝子変異の特定を行うとともに、疾患発症に対するSRBD1遺伝子の作用機序の検討を行う。 現在までに、柴犬およびシー・ズー犬についてSRBD1遺伝子領域の網羅的なSNP解析を完了し、柴犬およびシー・ズー犬の緑内障と最も顕著に相関するSNPを見出している。また、アメリカン・コッカー・スパニエル、ミニチュア・ダックスフンドおよびビーグルの3犬種を対象としたSRBD1遺伝子領域のSNP解析も実行し、3犬種の緑内障と相関の可能性を示唆するSNPを見出している。 以上より、本研究は当初の研究計画のとおり、「おおむね順調に進展している。」といえる。今後引き続き研究を進めることで、当初の目標を達成できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに得られている結果の統計学的信頼性を上げるため、追加検体を用いたSNP解析を実行する。また、緑内障と相関を示すSNPsを対象にSRBD1遺伝子の機能解析を実行し、SRBD1遺伝子を介した緑内障発症機序の解明を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は解析に要する検体解析試薬が当初より高額になると予想されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬消耗品に使用する。
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