温度感受性TRPチャネルとは、多様な細胞に発現している温度センサーの一種である。泌乳期の乳腺上皮細胞では中高温度域で活性化するTRPV4と低温度域で活性化するTRMP8が発現している。そこで乳腺上皮細胞の乳分泌を生体外で再現した培養モデルを用いて、両TRPチャネルの活性化を化学的に誘導し、その影響を調べた。その結果、TRPV4の長期的な活性化は乳腺上皮細胞を減少させ、その乳分泌能力を低下させていた。また、TRPM8の長期的活性化は乳腺上皮細胞の細胞数には影響せず、その乳産生能力を低下させた。乳腺上皮細胞周囲の温度変化は、これらのTRPチャネルを活性化し、乳汁分泌を制御すると考えられた。
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