研究課題
子宮などにおける一酸化窒素(NO)産生をスピントラップ・電子常磁性共鳴吸収(EPR)法により解析し、NO の作用や NO 合成酵素の発現調節を報告してきたが、いまだ不明な点が残されている。その要因の一つは、 NO によりシステインのチオール基(―SH)が S-ニトロシル化(―SNO)され、タンパク質の性質が修飾されることにある。ラット子宮におけるNO産生は妊娠中期に著しく増加し、その際、子宮内膜でのアポトーシスも生じている。一方、この時期のNO産生が阻害されると、カスパーゼ経路を介してアポトーシスがさらに促進され、同時に、活性型カスパーゼ-3やその阻害因子であるX連鎖アポトーシス阻害因子(XIAP)の発現が増加していた。また、活性型カスパーゼ-3とXIAPのS-ニトロシル化も有意に増加し、この変動は脱ニトロシル化の主要因子であるチオレドキシンの有意な減少と一致していた。これらの結果から、NO産生が抑制されると、活性型カスパーゼ-3とXIAPが増加し、同時にチオレドキシン-1の減少に伴い活性型カスパーゼ-3とXIAPのS-ニトロシル化が生じ、これらのバランスの結果アポトーシスが決定されることが示唆され、NO産生の抑制により生じる妊娠中期の子宮内膜におけるアポトーシスは、正負両面から調節されている可能性を示した。
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