本研究は、精子幹細胞と分化細胞の運動パターンとその制御機構の解明を目的とした。第一の成果は、精子幹細胞は分化直後の細胞と比して活発かつ無秩序に動くことを解明したことである。第二の成果は、ひとつひとつの幹細胞・分化細胞の多様な動きが生み出される仕組みについて、細胞同士のつながり(精子形成において観察される特殊な現象)と細胞の内在的運動能が関係している可能性を見出したことである。今後の課題は、幹細胞・分化細胞の運動を制御する分子的制御機構とその生物学的意義の解明である。研究期間内、幹細胞の動きについて、幹細胞生物学の専門誌であるセルステムセル誌に報告した(Hara et al., 2014)。
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