研究課題
動物との相互作用により様々な効果が期待できる動物介在教育(Animal Assisted Education: AAE)は、教育場面で活用される機会が増えてきている。しかし、その効果について対照条件を設けて定量的に検討した報告は少ない。本研究課題では学習場面におけるイヌとの相互作用が及ぼす効果について生理的、認知的、社会的側面から多角的に検討することを目的としている。AAEの効果の特徴を正確に把握することで、AAEの導入が有効な場面や使い方について明確にすることが可能となる。2016年度においては、前年度に引き続き、社会的側面からの検討を実施した。2015年度は4人1組で社会的ジレンマ課題を実施したが参加者間の交流が発生せず、参加者間の印象評定にも違いが見られなかった。そこで、2016年度は2人1組で課題を実施し、交流が発生しやすい状況を設定した。対象は大学生38名であり(男性8名、女性30名、平均年齢20.5歳)、イヌ条件と対照条件である植物条件にランダムに割り当てた。課題は囚人のジレンマゲームを用いた。ゲーム中盤にイヌもしくは植物を導入し、参加者はそのイメージを評定することが求められた。また、ゲームの相手に対する印象評定を実験中に3回実施した。休憩時間には実験者が実験室から退くことで、参加者同士が交流しやすくした。データ解析の結果、囚人のジレンマゲームにおける協力率は条件間で違いが見られなかった。一方、参加者間の印象評定に関しては、ゲーム後半において植物条件よりもイヌ条件で印象が良くなっていた。交流が発生しやすい状況においては、イヌが介在することによって社会的相互作用が促進され、他者の印象に影響を与える可能性が示唆された。
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日本獣医生命科学大学研究成果報告
巻: 65 ページ: 18-24