研究課題
本年度は、昨年度得られたブタiPS細胞を核移植のドナー細胞としてクローン胚盤胞の作製と体外発生能及び胚盤胞の遺伝子発現解析を行った。体細胞核移植に用いるドナー細胞とレシピエント卵細胞それぞれの細胞周期の組み合わせは、効率的な体細胞核リプログラミングにおいて重要な要因の一つである。そこで最初にiPS細胞におけるG0/1期への細胞周期の同調法を検討した。非同調のiPS細胞の細胞周期解析を行った結果、G0/1期が44%、S期が20%、G2/M期が36%であった。G0/1期に細胞周期を同調するため、ロスコビチンを培地に添加して24-48時間培養すると70-80%のiPS細胞がG0/1期に同調した。そこで非同調、G0/1期に同調したiPS細胞およびG0/1期に同調した胎児線維芽細胞を除核した未受精卵と融合して核移植を行い7日間体外培養を行った結果、それぞれ12%、25%および29%のクローン胚が胚盤胞へ発生した。iPS細胞由来クローン胚盤胞、胎児線維芽細胞由来クローン胚盤胞および体外受精由来胚盤胞の遺伝子発現解析をリアルタイムPCR法でそれぞれ比較した結果、iPS細胞由来胚盤胞の多能性関連遺伝子OCT4、SOX2の発現レベルが体細胞由来クローン胚および体外受精由来の胚盤胞よりも有意に高い結果となった。
3: やや遅れている
ブタiPS細胞を用いた核移植実験系を確立することはできたが、核リモデリングを目的としたリモデリング因子や脱メチル化酵素を導入した体細胞を用いた核移植実験ができなかったため
核リモデリング因子や脱メチル化酵素の遺伝子クローニング及びmRNAを作製し、体細胞または核移植卵に導入することによる体細胞クローンのリプログラミング促進効果を検討する。
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PLOS ONE
巻: 10(5) ページ: -
10.1371/journal.pone.0126801