現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、本研究課題の中間年度であるが、初年度において、幹細胞モデルとするES細胞ですらBcrp1高発現のSP細胞と低発現の非SP細胞の亜集団に分けられ、それぞれにおけるBcrp1の発現制御様式については知見に乏しかったことから、本研究の背景となる基礎データの取得から行ったため、研究計画より進捗はやや遅れている。しかし、SP細胞でのBcrp1アイソフォームとc-Mycの位置づけを確認できた意義は大きく、本研究課題におけるBcrp1、特にアイソフォームAの発現と機能の視点の重要性が示された。初年度でも並行して、ES細胞へのH2O2曝露実験に対する条件設定を進めてきた。本年度は、それらの基礎データに基づき、H2O2曝露後の初期の挙動に着目して解析を行い、標的となるBcrp1、c-Myc、リン酸化c-Mycそれぞれについて変動を確認したものの、ES細胞内での酸化ストレス応答の生理的挙動(細胞内PPIXの局在、GSHレベル、ROS濃度、DNA損傷、ミトコンドリア膜電位活性等)の解析には至らなかった。しかし、それらの解析手法については並行して条件設定を進めており、次年度に実施予定である。また、本研究で作製予定のTet-on誘導型Bcrp1発現ならびにノックダウンES細胞については、上記の検証を優先して実施したために準備が遅れているが、ES細胞へのTet-on調節ベクターの導入に着手している。さらに、ES細胞におけるROS制御が分化誘導に及ぼす影響については、体外分化誘導過程における未分化関連遺伝子(Oct3/4, Nanog, Sox2など)や3胚葉への分化マーカー遺伝子(Brachury, Gata-4,Sox-1など)の発現の変動をRT-PCRおよびqRT-PCRにより解析中である。
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