研究実績の概要 |
イエカやシマカに対する殺虫活性については、israelensis株由来のcry4Aa, cry4Ba, cry10Aa, cry11Aa,cyt1Aa遺伝子と当該研究室で発見されたcry39Aa,cry44Aa遺伝子を発現させそれらの殺虫活性の強さを比較することにより、これらの中でどのcry遺伝子がイエカやシマカに強い殺虫活性を有するのかを明らかにした。 イエカやシマカについては、化学殺虫剤や微生物農薬資材であるスフェリカス製剤、israelensis株由来のcry11Aa遺伝子に対する抵抗性蚊の出現が、タイやマレーシア等の東南アジア各国や中国で報告されており、当該研究室でもcry11Aa遺伝子のスクリーニングを通して抵抗性蚊の作出ならびに抵抗性蚊継代維持を試みたが抵抗性蚊の作出には至らなかった。また、化学殺虫剤抵抗性蚊を継代管理している国内外の研究者と連絡をとり、抵抗性蚊を入手してBt製剤抵抗性スクリーニングを行ったがBt抵抗性蚊の作出には至らなかった。 化学殺虫剤抵抗性蚊のトキシンプロセッシングやレセプター分子の機能解析を行うことで、感受性蚊と抵抗性蚊における中腸での作用機構や分子遺伝的な違いを、網羅的解析で検討したがプロセッシング様式やレセプター分子において抵抗性蚊と感受性蚊において明らかな違いが見受けられなかった。 これらのことにより得られた情報をもとに、イエカやシマカのゲノム解析により得られた情報と合わせることで、各蚊殺虫性Cryトキシンのイエカやシマカにおけるレセプター候補分子の遺伝子をクローニング・機能解析を行い、蚊特異殺虫活性機構・抵抗性獲得機構の解明を進めている。
|