イエカとシマカ幼虫に対して強い殺虫活性を有するBacillus thuringiensis entomocidus INA288由来のCry44Aaトキシンは、広く利用されているB. thuringiensis israelensis(Bti)に変わる新規蚊防除資材として期待されている。これまでの研究で、作用機構においてトキシンレセプターの違いを含めて異なっており、Bti製剤に対して抵抗性を獲得した蚊の出現の際には、それに変わるBt剤としても期待されている。しかしながら、Cry44Aaトキシンのシマカやイエカにおける殺虫活性機構の詳細については不明な点も多いことから、この研究を通してシマカに対する殺虫活性機構について明らかにした。Cry44Aaトキシンレセプター候補分子として、ネッタイシマカからalkaline phosphatase (alp)遺伝子、aminopeptidase N(apn)遺伝子、cadherin like(cad)遺伝子、ABCC transporter (abcc)遺伝子をクローニングし大腸菌にて発現させたのち、Cry44Aaトキシンとの結合を調査したところ、それぞれのタンパク質との結合が観察されたことからバキュロ発現システム(AcMNPV express system)を用いて昆虫培養細胞Sf9にてそれらのレセプター候補分子を細胞表面に発現させ、Cry44Aaトキシンによるレセプター分子結合と細胞損傷能について調査した。その結果、Cry44Aaトキシンレセプターとして機能するのは、AeALP1とAeABCであり、発現させたそれらのタンパク質への結合と細胞が膨張し、崩壊することが確認できた。今後は、イエカについてこの研究で確立したシステムを用いてCry44Aaトキシンレセプターの機能調査を行いたいと考えている。
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