研究課題
カイコ(Bombyx mori)の幼虫は皮膚の真皮細胞に尿酸を蓄積し、光の反射により白く彩られた体色に見える。日本には皮膚の尿酸蓄積量が少ないカイコ幼虫変異体(通称:油蚕)が26種類存在し(ナショナルバイオリソースプロジェクト KAIKO)、その系統が保存・維持されている。しかしながら未だ多くの油蚕原因遺伝子の産物は不明である。申請者は哺乳類と同等のカイコ大規模遺伝子発現解析の研究基盤を整備し、本研究で用いた油蚕変異体系統opの遺伝子発現をMicroarrayにより解析した。その結果、パーキンソン病原因遺伝子DJ-1を上流とする新規な尿酸合成経路を発見した。本年度はMicroarray解析で同定した尿酸合成経路の上流を調節すると思われるDJ-1についてRNA干渉により遺伝子発現を抑制し、尿酸合成経路に関連する分子との関連を調査した。まずはじめにDJ-1のノックダウンのための条件検討を行った。DJ-1の配列から複数のdsRNAを合成し、ノックダウン効果を安定的に得られるdsRNA標的配列および条件を詳細に決定した。次いでBmDJ-1タンパク質およびmRNAレベルが十分に低下した状態において、これまでに同定した尿酸合成経路に関与する遺伝子群のmRNAの発現を検討したところ、尿酸合成の鍵酵素においてmRNAの発現が顕著に低下したことが分かった。他にも関連する遺伝子群についてタンパク質およびmRNAレベルにおける発現およびそれらのタンパク質のリン酸化の有無について検討中である。また、opの原因遺伝子候補と推定されるmiRNAについて機能解析を行った。また、miRNAは複数の標的を持つことが知られており、先に作成したデータベースを活用し、バイオインフォマティクスにより、その標的遺伝子の探索も行っている。最終的には、ルシフェラーゼアッセイ等の実験により結合を確定する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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