研究課題/領域番号 |
26450470
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
細谷 忠嗣 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 准教授 (90467944)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | DNAバーコーディング / コガネムシ上科甲虫 / 農業害虫 / 希少種 |
研究実績の概要 |
本研究は以下の6過程での進行で計画している。それぞれの進行状況を記していく。1)サンプルの収集:四国(徳島県)において、各種採集トラップや任意採集によってサンプル採集調査を行い、この地方のコガネムシ上科甲虫類のサンプルを得ることができた。また、昆虫学会や応用動物昆虫学会、甲虫学会、コガネムシ研究会の大会において、またFacebook等において、全国の各分類群の専門家や各地の昆虫同好者にプロジェクトへの協力依頼を引き続き行い、協力者のネットワーク形成を進め、多数の方々から多くのサンプル提供を頂いた。2)サンプルの同定:採集したサンプルや協力者からご提供いただいたサンプルは、順次同定作業を進めている。3)DNAバーコード領域の塩基配列の決定:コガネムシ上科甲虫類は、標準プライマーセット(LCO1490とHCO2198)でのPCR効率が悪く、代替プライマーを用いた塩基配列の決定をクワガタムシ科とコガネムシ科を中心に進めた。4)サンプル情報およびDNA配列のデータベース登録:多田内修(九州大)を代表者とする科研費研究成果公開促進費(データベース)に基づく「昆虫学データベース」に「日本コガネムシ上科甲虫DNA barcodingデータベース(JScaBOL)」を一昨年に開設し、サンプル情報と塩基配列データのデータベース化を進めている。5)サンプル標本およびDNAの保存:九州大学大学院比較社会文化研究院のコレクションに収蔵するべく、DNA保存用の冷凍庫を設置した。6)学会発表および論文化による公表:甲虫学会において口頭発表を行い、進行状況の説明を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サンプルの収集は順調に進んでおり、同定作業も現時点では問題はない。サンプル情報およびDNA配列のデータベースづくりも進行している。PCRに一部問題があり、コガネムシ上科甲虫類はDNAバーコード領域の塩基配列を決定するために用いている標準プライマーセット(LCO1490とHCO2198)でのPCR増幅効率が悪く、増幅されない個体も多いため、塩基配列の決定が計画通りに進んでいない。代替プライマーの開発も行っているが、コガネムシ上科甲虫類に広範に用いることができる代替プライマーをまだ開発できておらず、計画の進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
サンプル収集については、協力体制が構築され、各地の協力者からの多数のサンプル提供をいただくことができている。今年度もサンプル提供の継続をお願いして、収集を進めていく。現時点で、サンプルの収集が少ない中国地方や中部地方での採集調査を計画し、サンプルの充実を図る予定である。サンプルの同定は、一部同定が難しい分類群については引き続き専門家のサポートを受けて同定を進めていく。同定したサンプルは害虫類や希少種を優先的にDNAバーコード領域の塩基配列の決定を順次行っていく。PCR には現在までに開発した代替プライマーを用いるとともに、広範な利用が可能な新規の代替プライマーの開発も行っていく。塩基配列を決定したサンプルは、DDBJに塩基配列の登録を行うとともに、「昆虫学データベース」の「日本コガネムシ上科甲虫DNA barcodingデータベース(JScaBOL)」にも順次サンプル情報も合わせて登録を進めていく。結果のまとまった分類群から、国際昆虫学会議や応用動物昆虫学会、甲虫学会などにおいて学会発表を行い、順次論文化を進めていく。
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