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2017 年度 実績報告書

捕食寄生性者にとって寄主範囲とは:寄主免疫作用とヤドリバエ

研究課題

研究課題/領域番号 26450473
研究機関国立研究開発法人国際農林水産業研究センター

研究代表者

中村 達  国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (40373229)

研究分担者 古川 誠一  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (10391583)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードヤドリバエ / 寄主免疫作用
研究実績の概要

ヤドリバエDrino inconspicuoidesが寄主体内に作るバリア構造物の詳細な形成過程を明らかにするため、寄主昆虫であるMythimna separate(アワヨトウ)に侵入後のヤドリバエ幼虫を継時的に観察した。その結果、侵入2時間後に綿状の物質が幼虫を取り囲んだ後、粘性の物質が周囲を覆い、4時間後には外側から幼虫を観察できない厚さでバリア構造物が形成されていることが分かった。寄主の血球特異的もしくは脂肪体特異的に発現するプライマーを用いて、バリア構造物を形成する細胞に対しPCRを行った結果、内側の綿状の物質は血球由来、そして外側の粘性の物質は脂肪体由来である可能性が示唆された。そして継時観察を継続したところ、ヤドリバエ幼虫が3齢になる侵入72時間以降では、バリア構造物が幼虫全体を覆うことができず、体の前半が寄主体腔内に完全に露出しているのが確認された。この構造物はヤドリバエ幼虫が大型化する72時間以降には幼虫全体を覆いきれないものの、この時期の幼虫がどのように身を守っているのかは不明である。一般的に、内部寄生性を示す捕食寄生性昆虫は、寄主免疫作用に対して特異的な反応しかできないため、寄主範囲が狭いとされる。これに対して、同じ内部寄生性を示すにもかかわらず、ヤドリバエは広い寄主範囲をもつことが知られている。本研究の成果により、新たな寄主免疫作用に対抗する手段が解明され、捕食寄生性昆虫のこれまでの常識とは異なる寄生戦略が明らかになれば、生理学的な寄主範囲はどのように決定されるのか、そして同様に捕食寄生者として収斂進化してきた寄生蜂とヤドリバエの寄主免疫作用に対する適応の違いが明らかにされる可能性がある。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] 微小卵型ヤドリバエ幼虫は寄主内でどのように隠れるべき特定器官を見つけるのか2018

    • 著者名/発表者名
      中村 達、田中利治
    • 学会等名
      第62回日本応用動物昆虫学会大会
  • [学会発表] ヤドリバエはホストの脂肪体を誘引する!2018

    • 著者名/発表者名
      張凱・一木良子・中村達・古川誠一
    • 学会等名
      第62回日本応用動物昆虫学会大会
  • [学会発表] Where are they hiding in a host? Comparison between two microtype tachinid species escaping from their host's immune responses.2017

    • 著者名/発表者名
      Nakamura S, Tanaka T
    • 学会等名
      5th International Entomophagous Insect Conference, Kyoto
    • 国際学会
  • [学会発表] Direct observation of immature behavior and development of the endoparasitoid fly Exorista japonica (Diptera: Tachinidae) by using an in vitro rearing technique.2017

    • 著者名/発表者名
      Ichiki TR, Nakahara Y, Furukawa S, Tachi T, Tabata J, Nakamura S
    • 学会等名
      5th International Entomophagous Insect Conference, Kyoto
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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