研究課題/領域番号 |
26450484
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
佐藤 雪太 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (40271762)
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研究分担者 |
村田 浩一 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00339285)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ベクター媒介性感染症 / 鳥類血液寄生原虫 / 鳥ポックスウイルス / 感染リスク / モニタリング |
研究実績の概要 |
本年度は、これまで調査してきたモニタリングサイトに加えて、1)人口の多い都市環境である東京都および千葉県、2)隔離された環境である小笠原諸島原虫における野鳥の血液寄生原虫および鳥ポックスウイルス(APV)について分布状況を検討した。 2013年8月~2015年3月まで、東京都および千葉県内の動物病院で保護された各種野鳥の血液からDNAを抽出し、各種血液寄生原虫のミトコンドリアDNA cyt b遺伝子部分配列を標的としたnested PCRおよび分子系統解析を行った。 また、2014年に小笠原諸島父島で保護されたメジロ4羽から病変が認められた皮膚組織を採取し、DNAを抽出して、APVの 4b core protein領域を標的としたPCRおよび分子系統解析を行った。 東京都や千葉県の保護鳥類52種148羽中26種40羽(27.0%)から、3属いずれかの原虫DNAが検出され、内訳はPlasmodium属5.4%、Haemoproteus属14.2%、Leucocytozoon属10.8%であった。人口の多い都市部における野鳥の捕獲は困難であるため、今後も継続して傷病保護個体を対象とした病原体保有状況の解明が必要であると考える。 APVについては、すべての組織由来DNAから同一のAPV遺伝子の増幅が認められた。検出された配列は、いずれもカナリア痘(Canary pox)グループに分類された。保護時期および場所が異なるメジロから同一のウイルスDNA配列が検出されたことから、父島では同一のウイルスがメジロの間で伝播している可能性が示唆される。カナリア痘ウイルスはハワイミツスイやフンボルトペンギンなどで病原性が高く、今後も国内の鳥類やベクター(蚊)におけるウイルス保有状況や病原性などを明らかにしていく必要がある。(759字)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
天候不順等により、当初見込まれていた研究協力者からのサンプル提供が不可能となった地域および遅延が生じたため。ただし、新たなサンプル提供先は確保されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き各地の鳥類血液原虫保有状況を調査するとともに、これまで病原体が検出された地域において、重点敵に鳥類および媒介昆虫からサンプリングを行い、年間を通じた 保有状況の変動を調査することにより、環境の変化を検知するシステムの構築を目指す。
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