研究課題/領域番号 |
26450487
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
大脇 良成 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター土壌肥料研究領域, 主任研究員 (60355542)
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研究分担者 |
塔野岡 純子 佐賀大学, 農学部, 特定研究員 (00713314)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エンドファイト / サツマイモ |
研究実績の概要 |
中央農業総合研究センター内の圃場において栽培したサツマイモから、茎サンプルを採取した。採取した茎は、直ちに表面をふき取り、微小酸素電極を用いて茎内部の酸素濃度を測定した。その結果、圃場で栽培したサツマイモでは、表皮直下より急激に酸素濃度が低下し、茎内部の広範囲な領域が低酸素状態であることが明らかになった。そのため、表面を薄く剥離した茎サンプルを用いて、低酸素領域に感染する細菌の探索を行うことができるものと考えられた。そこで、圃場より採取したサツマイモ茎表面を薄く剥離したサンプルを調整した。 感染しているエンドファイトの評価は、非培養法と培養法の両面から行うこととした。非培養法に用いるサンプルは、液体窒素で凍結した後、超低温槽で保存した。培養法で用いるサンプルは、直ちに実験に供した。サンプルは表面殺菌した後、茎切片を培地上に静置し、好気条件および嫌気条件で培養し、茎断面より出現した菌を純化した。なお、嫌気条件はアネロパックにより作出した。嫌気条件では、生育の遅い菌が主に分離され、コロニー形態等は好気条件で分離された菌とは、大きく異なっていた。分離した菌株からDNAを抽出し、16S rRNAのほぼ全長をPCRにより増幅した。現在、増幅した遺伝子断片の塩基配列の解析を行っており、それにより好気的なエンドファイトと、嫌気的なエンドファイトの特性を解析する予定である。非培養法を用いた解析は、本年度調整したサンプルにより進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サツマイモの茎内部の酸素濃度分布について調査を行い、低酸素の部位を明らかにした。これは本年度計画の第一の達成目標であり、これによりエンドファイトを分離するサンプルを確定することができた。次に、これらのサンプルを用いて、好気的な培養条件および嫌気的な培養条件で生育するエンドファイト細菌を分離することができた。嫌気的な培養条件で分離されたエンドファイトは、好気的なエンドファイトとは異なる特徴を示したため、茎内部の低酸素領域に生息するエンドファイトの一部が分離されたものと考えられた。今後、これらの菌を同定しその性質を明らかにすることで、本研究の目的である、サツマイモの低酸素領域に感染するエンドファイトの特徴を解明することができるものと期待される。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に沿って研究を進める予定である。なお、当初研究計画では、サツマイモの好気的な組織(皮層)と嫌気的な組織(中心柱)を分けて解析する予定であったが、今年度、圃場で生育するサツマイモの茎組織中の酸素分圧を測定した結果、酸素分圧が高い組織は表皮直下のわずかな部位であることが明らかになった。そのため、表皮を薄く剥ぎ取った茎サンプル全体を低酸素組織として研究を進めることとする。次年度以降は、嫌気性エンドファイトと好気性エンドファイトの同定を行うとともに、窒素固定機能の有無を調査する。また、非培養法によるエンドファイトの探索を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度購入を予定していたニードル式酸素センサーは、現有しているセンサーの感度が維持されていたため購入を延期し、残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額773,237円は、次年度に請求する研究費とあわせて、消耗が進んだニードル式酸素センサーの購入等、研究計画遂行のために使用する。
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