研究課題/領域番号 |
26450489
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
愛甲 哲也 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30261332)
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研究分担者 |
庄子 康 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60399988)
敷田 麻実 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40308581)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 管理運営 / 地域協働 / 管理運営計画 / ボランティア |
研究実績の概要 |
自然公園の生態系サービスの一つであるレクリエーション利用について,恩恵を受けている登山者自身に,山岳地の登山道の管理を行政等の管理者と協働で行う機会が増えてきている。全国の国立公園の管理計画書から情報提供・協働の位置づけについて調査し,協働による登山道管理を行っている大雪山国立公園とアメリカ・アディロンダック公園のボランティアメンバーおよび一般登山者の意識調査を実施した。 国立公園の管理計画書において,管理運営計画としてかかげる地域と公園の将来目標に現状で言及しているものは2割程度しかないことがわかった。情報提供については,自然解説や安全対策に関するものが記述されていた。大雪山国立公園の登山者は,管理者と地域の山岳会などが協働で登山道を管理していることを約半数しか認知していないが,多くの登山者が登山のついでにできる簡易な作業や運搬には意欲を示していることが明らかとなった。実際に運搬に参加した登山者の満足度は高く,特定の層のみが参加しているわけではなかった。アメリカで長い歴史をもつアディロンダック公園のボランティアの参加者は,日本にくらべて年齢層が若く,自然環境を守るためや,自然観察のためという動機が高かった。多様な利用者層に対応した参加の機会が設けられていることなどからわが国に参考になる点も多く,参加者の満足度も高く,公園の管理の有効性が高く評価されていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存の管理計画書はほぼ収集し,その内容の分析を行え,地域と公園のビジョンの記述,総合型協議会の設立はまだ事例が少ないことが示された。 登山者および協働型の登山道整備のボランティアメンバーの意識調査から,認知度,参加のきっかけ,動機,満足度を明らかにした。特に,アディロンダック公園では,協働型の登山道整備を実施しているアディロンダックマウンテンクラブのリーダーシップや運営への評価が高く,公園の管理を有効にさせていることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
協働型の登山道管理の参加者の動機と満足度からも,公園管理の有効性を評価する指標を得ることができた。諸外国の有効性評価の指標も参考にして,市民意識調査を実施し,自然公園の有効性を生態系サービスとレクリエーション機能,協働型管理の観点から評価を行っていく。 大雪山国立公園と知床国立公園などを事例調査地として,ボランティア参加者の意識調査を実施するとともに,地域の関係者に国立公園の生物多様性保全,レクリエーション利用,経済効果,地域協働の観点からの評価を聞き取ることによって,より多面的な評価手法を確立したい。
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