研究課題/領域番号 |
26450491
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
加藤 和弘 放送大学, 教養学部, 教授 (60242161)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 都市緑地 / 植生構造 / 鳥類 / 種組成 / 景観構造 / バードサンクチュアリ |
研究実績の概要 |
調査対象地として、いずれも都立公園である赤塚公園、光が丘公園、城北中央公園、戸山公園、代々木公園、砧公園、林試の森公園、蘆花恒春園の8箇所を選定した。それぞれにて予備調査を行い、各公園に6~12の調査地点を設定し、簡便法による植生調査を行って階層別植被率を算出した。 2014年11月より、越冬期の植生調査を開始した。サンクチュアリ非設置の公園については各2回の調査を実施し、また植生調査、来園者による利用状況の調査、落葉の堆積状況の調査を実施した。サンクチュアリ設置の公園については一部で調査を行ったが、東京都より調査の許可手続きをやり直す必要があるとの指示があったため中断した。これについては、2015年度越冬期に再度実施する予定である。 サンクチュアリ内外において、鳥類相には顕著な違いが認められた。シロハラ、ウグイスがサンクチュアリ外よりもはるかに高い頻度、高い密度で認められたほか、カケスはサンクチュアリ内でのみ記録された。ただ、サンクチュアリ内にも投棄された(軽量のものについてはハシブトガラスが運んできた可能性もある)ゴミが所々に見られたほか、ノネコの徘徊も認められ、鳥にとって安住できる聖域とは必ずしも言えない可能性がある。にもかかわらず多くの鳥が見られたのは、ウグイスやシロハラなどの冬鳥が好んで利用する下層植生が密に発達していたこと、カケスを含む一部の鳥類の食物となる堅果(ドングリ)が、人為的に除去されずに鳥が利用可能な状態になっていたことが理由と考えられた。 このほか、調査対象地を含む一帯の衛星画像を入手し、景観構造の分析に着手したところである。 東京都との交渉については、本研究の申請から着手に至るまで窓口となっていただいた担当官を通じ、現在東京都東部公園緑地事務所と東京都公園協会と折衝を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予備調査から本調査の開始までは順調であったが、東京都より調査許可手続きをやり直すように指示があったため、サンクチュアリ設置緑地での調査が継続できなくなり、その部分が未達成となった。当初の計画でも悪天候など不測の事態により野外調査が予定通り実施できない可能性があることは考慮しており、その場合には次年度の冬に追加調査を行って対応することとしていたため、現時点ではこの計画に沿って研究を継続する。
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今後の研究の推進方策 |
東京都からの調査許可が下り次第、2015年度の繁殖期の鳥類調査および植生調査を実施し、さらに越冬期の鳥類調査を実施する。繁殖期調査は既に繁殖期が始まっていることから、2016年度にも継続して実施する。 用意した衛星画像を分析して、対象となる都市緑地を取り巻く地域における植被の分布状況を解析するとともに、都市緑地内での高木植被の分布パターンを判読して、鳥類相の場所による違いへの影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
東京都からの指示による調査許可申請のやりなおしに伴い、現地調査が計画通り実施できなかったことに起因する。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度以降に追加調査、補充調査を行う際の交通費と消耗品費として使用する。
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