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2014 年度 実施状況報告書

トランスポーター改変による二次代謝産物の大量生産

研究課題

研究課題/領域番号 26450506
研究機関金沢工業大学

研究代表者

佐野 元昭  金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (80410299)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードトランスポーター / パーミアーゼ / 麹菌 / 遺伝子破壊
研究実績の概要

麹菌ゲノムデータベース上でトランスポーター・パーミアーゼと予測されていた640個の遺伝子について、膜貫通領域を予測するソフトSOSUI及びTMHMMを使用して膜貫通ドメイン数の解析を行った。その結果、可溶性タンパク質と予測された遺伝子が16個、膜貫通ドメイン数が5個以下と予測された遺伝子が41個あり、合計57個の遺伝子は生体膜上に存在しないと判断した。また、これ以外のトランスポーター遺伝子中にも、アミノ酸レベルの相同性検索結果より、イントロンの位置に誤りがあると推測された遺伝子や、遺伝子予測を誤っている思われる遺伝子が見つかっており、これら遺伝子について情報の修正作業を進めている。このような情報は、本研究のみならず他の研究者にとっても有益な情報になりえる。
窒素化合物の取り込みに働くトラスポーター遺伝子の破壊株作製に関しては、硝酸ナトリウム・アンモニア・GABAの取り込みに関わると予測される遺伝子の破壊株を9株作製し解析を進めている。
窒素化合物で抑制される麹菌中の遺伝子の特定では、前培養を行った後、硝酸ナトリウムを単一窒素源として本培養を行った硝酸ナトリウムトランスポーター遺伝子破壊株と通常の株とを、DNAマイクロアレイにより比較解析を行った。その結果、硝酸ナトリウムトランスポーター破壊株で、遺伝子発現量が2倍以上になっている遺伝子が1,302個確認された。現在、二次代謝生合成に関連する遺伝子がないか確認作業を進めている。また、既に二次代謝生合成に関連が疑われる遺伝子については、定量PCRにより詳細な解析を進めている段階である。
このような解析で得られた情報は、トランスポーター改変による二次代謝産物の大量生産のための基盤情報となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

麹菌ゲノムデータベース上でトランスポーター・パーミアーゼと予測される遺伝子の膜貫通ドメイン数の解析作業では、やや遅れが生じている。これは、麹菌ゲノムデータベース中のトランスポーター遺伝子の配列情報中に、イントロンの位置に誤りがあるものや、遺伝子予測を誤っているものが複数見つかり、アミノ酸配列情報の修正作業が生じたためである。
窒素化合物の取り込みに働くトラスポーター遺伝子破壊株の作製に関しては、当初の計画以上に進展している。硝酸ナトリウム・アンモニア・GABAの取り込みに関わると予測される遺伝子破壊株を9株作製完了し、その他にアミノ酸取り込みに関わるトランスポーター遺伝子の破壊株を11株作製完了間近である。
窒素化合物で抑制される麹菌中の遺伝子の特定についてはおおむね順調に進展している。既に、硝酸ナトリウムを単一窒素源とした場合のデータ解析が終了しており、次にGABAを単一窒素源とした場合のデータ解析に進んでいる状況である。

今後の研究の推進方策

麹菌ゲノムデータベース上でトランスポーター・パーミアーゼ遺伝子のアミノ酸配列情報の修正作業を順次進め、膜貫通ドメイン数の解析作業を行う。これら情報を活用して、トランスポーター遺伝子破壊株の候補の絞り込みを行い、遺伝子破壊株の作製を進めていく。
窒素化合物で抑制される麹菌中の遺伝子の特定については、各種窒素化合物の場合でデータ取得を試みる。更に、これまでに得られた情報から、窒素化合物の添加により生産が抑制される二次代謝産物の特定をすすめ、窒素源取り込み制御による二次代謝産物大量生産のための基盤データ取得を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

研究進捗にはあまり影響を与えなかったが、年度の後半から定量PCRを行うリアルタイムPCRマシンが不調だったため、定量PCR解析を一時控えたため、予定よりも定量PCR用試薬購入額が少なくなった。また、DNAマイクロアレイ解析のプローブ作製を行うための試薬の販売が止まっており、別の方法でプローブ作製を試みたが感度が上がらず、実験手法などの再検討を行う必要が生じ、DNAマイクロアレイ用プローブ作製試薬の購入を控えた。これら2点の理由から、試薬購入が予定より少なくなったため次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

定量PCRについては、リアルタイムPCRマシンの不調が解消したため、平成27年度は多くの定量PCR解析を行う予定である。そのため定量PCR用試薬を多く購入する予定にしている。DNAマイクロアレイ解析についても実験手法が確立すれば、DNAマイクロアレイ用プローブ作製用試薬の購入をおこなう予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 麹菌の硝酸イオントランスポーター遺伝子の解析2015

    • 著者名/発表者名
      佐野元昭
    • 学会等名
      日本農芸化学会
    • 発表場所
      岡山大学
    • 年月日
      2015-03-28

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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