我々がこれまで開発してきたキラルカルベン配位子の高機能化と、その配位子設計概念を応用した新規キラル配位子・キラル触媒の創製を目的として研究を行い、本年度は以下の成果をあげた。 (1)昨年度合成したグアニジン有機分子触媒を用いる不斉反応探索を行った。その結果、活性メチレン化合物の共役付加反応において高いエナンチオ選択性で目的物を得ることに成功した。 (2)スルホニルアルキノールの環化反応の不斉化に挑戦した。その結果、中程度ながらエナンチオ選択的に環化体が得られる条件を見出すことができた。 (3)トリアゾリウム型カルベンを触媒とする非対称ジアールのベンゾイン環化反応と続く立体選択的還元反応を用いて、イノシトール立体異性体の作り分けに成功した。
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