研究課題
昨年度までは、反応場の概念の確立を念頭に基礎的なデータ収集と、可溶性ポリマーを反応場としたMannich反応について反応の進行と収率の向上のため詳細な検討を行い、目的化合物を得る事ができた。本年度は、更なる至適ポリマーの選別を行ったところ、PEG-dimethyl etherを用いることにより高い収率で目的化合物を得ることができた。そこで、反応場として使用するポリマーを上記に固定して更なる検討を行った。これまでは溶媒として水を用いて検討を行って来た。PEG-dimethyl etherは水にも有機溶媒にも可溶であるので、有機溶媒中での反応、あるいは水と有機溶媒の混合系での反応を検討した。その結果、有機溶媒を使用した場合は、単独使用、あるいは混合系のいずれも収率は低下したため、水を溶媒として用いることとした。用いる基質をベンズアルデヒド、クロロアニリン、メトキシプロペンとし、試薬としてYb(OTf)3を使用して反応場形成のための更なる検討を行った。PEG-dimethyl etherの平均分子量を種々検討したところ2000で最も高い収率が得られた。続いて、上記基質の濃度とポリマー濃度の関連を調査した。ポリマーに関しては溶媒量を変化させた場合と、使用するポリマー量を変化させた場合で比較検討を行った。その結果、至適濃度を見出すことはできたが、濃度の高低の変化と収率との関連は非常に乏しく、論理的な説明や見解を得ることはできなかった。ここで、同一の条件で反応を行った場合でも収率に差異が認められ、反応の再現性に大きな問題があることが分かった。また、反応場の形状にも差が出ることが分かり、これは収率と密接に関連していることが示唆された。特に反応温度を注視してその原因を探ったが、明確な理由は判明しなかった。そこで、新たな試みとして、再現性よく反応場を与えるポリマーの開発に着手している。
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