研究課題/領域番号 |
26460012
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
石倉 稔 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (10146011)
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研究分担者 |
山田 康司 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (80272962)
阿部 匠 北海道医療大学, 薬学部, 助教 (80453273)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インドリルボレート / エリプチシン / オリバシン / クロスカップリング / 電子環状反応 / 酸化的二量化 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、生理活性インドールアルカロイドの有用な新規合成法の開発を検討する。インドールからin situで調製できるインドリルボレートの合成化学的応用性の展開を中心として、本年度は、以下の点について研究を行った。 1 ピリドカルバゾールアルカロイドの短工程合成法の開発 インドリルボレートを用いるタンデム型クロスカップリング反応により、one-potで得ることができるトリエン誘導体の環化反応によりピリドカルバゾール骨格の効率的構築法の開発を進めた。我々が開発した銅触媒による6π-電子環状反応をトリエン誘導体の環化に適用することで、高収率で簡便にピリドカルバゾールを構築できた。さらに、反応のスケールアップにも成功したことから、エリプチシン、オリバシンおよび関連アルカロイドの全合成を達成できた。5,11位にメチル基を有するエリプチシン誘導体の合成法は、これまでにも数多く報告されている。しかし、1,5位にメチル基を有するオリバシン関連アルカロイドの合成法の開発は極めて少ない。これは、1位メチル基の導入に難があるため、有用な合成法の開発が進んでいない。我々は、合成の報告例のないJanetineを含めこれら関連アルカロイドの合成を短工程で簡便に行う方法論の開発を行うことができた(学会報告、論文作成中)。 2 インドールの酸化的二量化反応 我々は、Cu/PCCの組み合せによる酸化反応を開発し、アルカロイド合成への応用を検討した。触媒量のCu錯体とPCCを用いてスカトールおよび3-インドールアルデヒド誘導体の酸化反応を行い、one-potでtryptanthrin誘導体を得た(論文発表)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究では、インドリルボレートを用いるタンデム型クロスカップリング反応を鍵反応とし、エリプチシン、オリバシンに代表される抗腫瘍性ピリドカルバゾールアルカロイドの効率的合成法を開発した。銅触媒による6π-電子環状反応を用いることで、クロスカップリング反応により得られるトリエン誘導体の環化反応を改善できた。この結果、合成中間体の入手が容易となり、エリプチシンおよびオリバシンおよび関連アルカロイドの短工程での全合成を行うことができた。 スカトールおよび3-インドールアルデヒド誘導体酸化的二量化反応によるインドロキナゾリンアルカロイドであるtryptanthrinのone-pot合成法を開発できた。 インドリルボレートにおける分子内アルキル転位反応による多環系インドール化合物の構築とアルカロイド合成への展開についての検討を行った。1-メトキシインドールが有用であり、本転位反応による三環系インドール誘導体の構築に利用できた。 その他の計画については、研究を推進中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度で成果公表まで達成できなかった研究については、論文公表に向けて推進するとともに、平成27年度の研究についても推進する。本研究の有用性を示すため、二量体アルカロイドstrellidimineの合成を視野に入れて研究を進めたい。合成の完了した化合物については、生物活性の評価を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は、主に試薬、溶媒などの消耗品の購入に研究費を充当した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度も引き続き試薬、溶媒などの消耗品の購入と学会発表に関連する旅費に充当する。
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備考 |
医薬化学研究室ホームページ http://www.hoku-iryo-u.ac.jp./~iyaku/index.htm
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