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2016 年度 実績報告書

エナンチオ選択的異性化を利用する光学活性炭素-窒素軸不斉アミンの合成

研究課題

研究課題/領域番号 26460014
研究機関芝浦工業大学

研究代表者

北川 理  芝浦工業大学, 工学部, 教授 (30214787)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード軸不斉 / アミン / 回転障壁 / プロトン酸 / エナンチマー
研究実績の概要

平成28年度は,昨年度報告したプロトン酸の添加により回転障壁が向上する(不斉軸の回転速度が低下する)いわゆるプロトンブレーキ分子(軸不斉N-アリール-N-メチル-2-tert-ブチル-6-メチルアニリン)について,さらに詳細な研究を行なった.まず,窒素上に種々のパラ置換フェニル基を有する軸不斉アニリンの回転障壁を求め,パラ置換基の電子吸引性が強まるほど回転障壁が向上することを見いだした.また,軸不斉アミンのX線結晶構造解析やDFT計算を行なうことにより,回転障壁は基底状態で生じている窒素非共有電子対の共鳴安定化効果に依存することを明らかにした.すなわち,遷移状態ではパラ置換フェニル基が大きくねじれ,共鳴安定化が消失するので,パラ置換基の電子吸引性が強いほど消失する共鳴安定化エネルギーが大きくなり,回転障壁が向上する.プロトンブレーキはパラアミノ基がプロトン化され,アンモニウム型の電子吸引基となって回転障壁の向上をもたらしたと考えられる.
さらに,新たなプロトンブレーキ分子としてN-プロピル-N-(4-アミノフェニル)-ortho-iso-プロピルアニリンを見いだした.このアニリンにおいては,パラアミノ基への選択的なプロトン化を確認することができ(三級アミンへのプロトン化は生じていない),また,温度可変NMRを行なうことにより,ブレーキの大きさ(4 kcal/mol程度のブレーキ)も決定することができた.
外的要因によって結合の回転速度が変化する分子は分子ローター(分子マシーンの一つ)と呼ばれており,昨今注目を集めている.平成26年度には,プロトン酸の添加により不斉軸の回転速度が向上するプロトンアクセル型の炭素-窒素軸不斉分子を報告しており,本年度のプロトンブレーキ型分子と併せて,炭素-窒素窒素軸不斉アミンの構造的特徴を利用した新たな分子ローターを創製したことになる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Enantioselective synthesis of N-C axially chiral indoles through chiral palladium-catalyzed 5-endo-hydroaminocyclization2016

    • 著者名/発表者名
      Yudai Morimoto, Satoshi Shimizu, Ayano Mokuya, Nobutaka Ototake, Osamu Kitagawa
    • 雑誌名

      Tetrahedron

      巻: 72 ページ: 5221-5229

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1016/j.tet.2015.05.001

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 新規炭素-窒素軸不斉アミンの創製と構造特性2016

    • 著者名/発表者名
      森澤龍一,岩﨑由美子,北川 理
    • 学会等名
      第72回有機合成化学協会関東支部シンポジウム
    • 発表場所
      新潟薬科大学新津東キャンパス
    • 年月日
      2016-11-26 – 2016-11-27
  • [学会発表] 新規な炭素-窒素軸不斉アミンの合成と構造特性2016

    • 著者名/発表者名
      森澤龍一,岩﨑由美子,北川 理
    • 学会等名
      第60回日本薬学会関東支部大会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2016-09-17

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公開日: 2018-01-16  

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