研究課題/領域番号 |
26460019
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
細井 信造 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (60209236)
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研究分担者 |
山下 正行 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (20239982)
勝本 之晶 福岡大学, 理学部, 准教授 (90351741)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 絶対配置決定 / 誘起円二色性 / ビナフチル / ロドデノール / フェニルアルコール / 立体選択的合成 |
研究実績の概要 |
申請者らは、ビナフチル型新規CD発色試薬を用いた誘起円二色性を基盤とする「誘起CD励起子法」を開発し、これまでにいくつかの生理活性天然物に適用し、その有効性を確認している。平成27年度は、高いメラニン生成抑制効果があるとして美白化粧品に使用されたロドデノールに適用し、本法の有用性を検証するとともに、ベンゼン環と水酸基との距離のCDスペクトルに及ぼす影響についても調べた。ロドデノールは2013年、それを含有した化粧品の使用後に白斑等の症例が相次いで報告され、大きな社会問題となった。ロドデノールは二級水酸基を1個有し、その不斉中心の絶対配置の違いが活性に及ぼす影響に興味が持たれるところである。そこで、まずロドデノールの両エナンチオマーを調製し絶対配置の決定について検討した。その結果、ロドデノールの両エナンチオマーのビナフチル誘導体においては、予想通りx軸に関して対称な分裂型CDを与え、誘起CD励起子法の適用が可能であることが明らかとなった。さらに、水酸基の位置異性体を調製し、水酸基の位置の差異がCDスペクトルに及ぼす影響についても検討した。ロドデノールの2種の位置異性体のCDスペクトルにおいて、水酸基の位置がベンゼン環に近づくにつれて分裂型CDではなく、歪な形状を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究計画において必要なすべての立体異性体を立体選択的に合成し、CDスペクトルを測定することができた。しかしながら、平成26年度の研究計画、すなわち6種のデカリンモデル化合物の合成は完了したものの、立体配座解析および量子化学計算が思うように進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度合成した、分裂型CDを与えなかった4種類の立体異性体について立体配座解析および量子化学計算により、CDスペクトルを求め実測との比較により、CDスペクトルに及ぼすベンゼン環の影響等について検討する。平成28年度も引き続いて、6種のデカリンモデル化合物について立体配座解析および量子化学計算を行い、3位立体配置、A/B環結合および5位二重結合の存在の影響等について調べる予定である。
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